2021 Fiscal Year Research-status Report
Analysis of the mechanism underlying neural circuit formation based on primary cilia
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21K06382
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Research Institution | Kwansei Gakuin University |
Principal Investigator |
鳥山 道則 関西学院大学, 生命環境学部, 講師 (90457151)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鳥山 真奈美 奈良先端科学技術大学院大学, 先端科学技術研究科, 助教 (30773121)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 一次繊毛 / 中心体 / 繊毛病 / 神経回路網形成 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は新規一次繊毛局在分子の同定と機能解析を通じ、一次繊毛を介したシグナル伝達による神経回路形成機構を理解することである。一次繊毛は細胞外のシグナルを受容し細胞内へと伝達する役割を担う細胞器官であるが、一次繊毛により受容されるシグナルの全貌は未だ明らかではない。そこで本研究では、一次繊毛の細胞膜に局在する受容体分子の同定を中心に進めることで、一次繊毛を介したシグナル伝達を明らかにする。まず、一次繊毛局在分子を新たに同定するため、一次繊毛に特異的に局在化するタンパク質であるArl13bのC末端にAPEXタグを付加した遺伝子型を持つノックインマウスを研究分担者らと共に作製した。当マウスでは、ウエスタンブロッティング法によりArl13-APEXの発現が各組織において確認されており、今後の解析に使用するマウスの繁殖を現在進めている。 また、タンパク質間相互作用データベース(BioGrid)から、いくつかの繊毛病原因遺伝子との相互作用が報告されている新規遺伝子C6orf141 (Chromosome 6 Open Reading Frame 141)の機能解析も並行して進めた。GFP-c6orf141を用いた細胞内局在の解析の結果、c6orf141は、細胞分裂、細胞遊走、一次繊毛の伸長起点としての役割を担う中心体に強く局在することを見出した。加えてNIH3T3細胞、マウス胚性線維芽細胞においてRNAi法によりc6orf141の発現抑制を行った結果、コントロールと比較し一次繊毛の形成が有意に阻害されることが分った。これらの結果からc6orf14は一次繊毛形成を正に制御する可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Arl13b-APEXノックインマウスの作製が概ね完了し、ウエスタンブロッティング法により目的分子の発現が確認され、今後の解析に使用可能な状態である。 また、補助的に進めていた中心体局在タンパク質c6orf141の機能解析では、発現抑制により一次繊毛の形成に阻害効果が認められており、一次繊毛形成を正に制御する新規分子を同定したと考えられる。よって上記の理由から、このような評価とした。
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Strategy for Future Research Activity |
(1)新規中心体局在タンパク質c6orf141の機能解析 初代培養海馬神経細胞においてc6orf141の発現抑制を行い、神経細胞の一次繊毛の形成、神経突起伸長、樹状突起スパインの形成に与える影響を解析する。さらに、子宮内電気穿孔法により、マウス大脳皮質の神経細胞におけるc6orf141の発現抑制実験を進め、神経細胞の遊走、形態、神経突起伸長に与える影響を明らかにする。 (2) 新規一次繊毛局在分子の同定 神経細胞における新規一次繊毛局在分子の同定を目指し、生後1日目のArl13b-APEXノックインマウスから大脳皮質の神経細胞を調製し培養する。培養開始4および7日後に、ビオチンフェノールを添加し、一次繊毛局在分子のビオチン化標識を行う。その後、ストレプトアビジンビーズを用いたプルダウンを行い、ビオチン化タンパク質を単離し、質量分析法による同定を行う。
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