2021 Fiscal Year Research-status Report
マウス睡眠EEG/EMGデータ自動ステージ判定アルゴリズムと周辺ソフトウェア開発
Project/Area Number |
21K06385
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Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
山田 陸裕 国立研究開発法人理化学研究所, 生命機能科学研究センター, 上級研究員 (90469924)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | マウス / 睡眠 / EEG/EMG / 統計 / アルゴリズム |
Outline of Annual Research Achievements |
本提案では、マウス脳波/筋電(EEG/EMG)データから覚醒・REM睡眠・NREM睡眠の各ステージを自動的に判定するデータ解析手法を開発する.特徴量探索を行わない,ある意味で「原始的」なアルゴリズム開発を敢えて指向する.これにより,膨大な教師データを用意する作業を不要にしたり,計算コストの高い統計学的アルゴリズムを不要にし、かつ,判定基準となる特徴量を明確に定義することで判定結果の解釈が容易にできるアルゴリズムを実現する.本年度はこのアルゴリズムを実装したソフトウェアの開発と研究を行った.具体的には、以下の開発課題に取り組んだ. 1) ノイズ耐性の向上 実験データと統計学的な根拠とに基づいて周波数スペクトルの正規化手順と特徴量の周波数範囲を確定した.これにより,ノイズの影響を抑制しながら先述の各ステージの定義に最も当てはまる判定を論理的に行うことができるようになった.我々のアルゴリズムは原理的にEMGノイズの影響を受けにくいが,EEGのシグナルにおいても,スペクトルの平均化,外れ値の検出手順,さらに睡眠覚醒ステージの遷移確率モデルの導入により高いノイズ耐性を実現することができた. 2) 異なる測定機器や実験者によるデータへの適用性を検証 実データに基づいて性能を検証した.特に,先行研究で公開されている海外データベースに含まれるデータ(https://sleeplearning.ethz.ch/ など)を対象に解析を行った.公開データには我々の研究室が取得したデータと比較して,心拍ノイズが高レベルで含まれていたり,シグナルが欠損している区間があるものもあり,ソフトウェア側での追加の対策を行うなど,有意義な改善を行うことができた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
提案時までに試験的に行っていたアルゴリズムの検証結果をより実際のデータで試験し,改善を重ねた.その結果,期待通りかそれ以上に様々なデータに対して安定した判定性能が得られることが確認できた.これにより,提案時に挙げていた課題のおおよそ半分程度が解決できたと考えられ,3年計画の1年目として順当な成果だと捉えている.
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Strategy for Future Research Activity |
未知の遺伝子変異によるEEG/EMGシグナル変化への適用性を検証する.提案者の所属研究室で作出される多種類の睡眠表現型に関わる遺伝子変異マウスの実データでアルゴリズムの適用性を検証し,改良点を見出す.また,研究者による確認・修正作業負担を軽減するソフトウェアツールを開発を行う.
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Causes of Carryover |
今年度,新型コロナ対応のためテレワークでもソフトウェア開発を継続可能なノート型PCを購入したが,当初計画よりも安価で必要性能を満たした機種が別メーカーから販売されていたため.次年度にはより大規模のデータ解析を予定しており,デスクトップ型のPCのストレージ等の増強に充てる.
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