2021 Fiscal Year Research-status Report
自閉症の病態理解に向けた神経幹細胞運命制御メカニズムの解明
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21K06387
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
川口 大地 東京大学, 大学院薬学系研究科(薬学部), 助教 (70549518)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 神経幹細胞 / 自閉症 / 大脳 / 発生・分化 |
Outline of Annual Research Achievements |
自閉症の発症メカニズムの多くは解明されていない。これまでの報告から、自閉症児において脳の局所肥大が観察されている。また、肥大のパターンから将来自閉症を発症するか予測できる可能性も示唆されている。さらに、近年のモデル動物を用いた研究から、複数の自閉症ハイリスク遺伝子欠損動物に共通した表現型として脳サイズ制御の破綻が観察されている。しかし、自閉症においてみられる局所脳肥大を担うメカニズムは殆ど不明であり、肥大が自閉症症状の原因なのかは明らかではない。本研究では、独自に開発した脳局所肥大型の自閉症モデルマウスを用いて、脳サイズ制御破綻の引き金となるメカニズムを明らかにし、自閉症発症との関連を調べることを目指して研究を行なった。 これまでの予備的な研究結果から、脳局所肥大には神経幹細胞の増殖・分化状態の変化が関与する可能性が示唆されていた。そこで、脳局所肥大型自閉症モデルマウスにおいてどのような分子的異常が神経幹細胞の増殖・分化状態を変化させるのか検討した。その結果、将来肥大する領域の神経幹細胞において野生型に比べて有意に発現変動する因子が複数見出された。今後は、これらの発現変動因子が実際に脳肥大や自閉症関連行動に関与するのかを調べる予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では、脳局所肥大を示す自閉症モデルマウスを利用し、脳サイズ制御破綻の原因となるメカニズムを明らかにすることを目指している。本年度の研究結果から、将来肥大する脳領域の神経幹細胞において特異的に発現変化する分子が複数見出された。発現変動因子の一部は細胞増殖に関わる機能を有することから、神経幹細胞の増殖・分化制御に関与することが期待される。
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Strategy for Future Research Activity |
発現変動が見られた因子が脳サイズ制御や自閉症関連フェノタイプに関与するのかを検討するため、発現変動遺伝子を脳の局所においてノックアウト・ノックダウンする実験および過剰発現する実験を行う。
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