2023 Fiscal Year Research-status Report
自閉症の病態理解に向けた神経幹細胞運命制御メカニズムの解明
Project/Area Number |
21K06387
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
川口 大地 東京大学, 大学院薬学系研究科(薬学部), 准教授 (70549518)
|
Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
|
Keywords | 神経幹細胞 / 自閉症 / 大脳 / 発生・分化 |
Outline of Annual Research Achievements |
自閉症児においてみられる局所脳肥大は前頭前皮質など特徴的な脳部位において顕著に見られることが指摘されている。しかし、肥大した脳部位において、どのような組織学的な変化が見られるのかについては不明な点が多く残されている。これまでに行なった前頭前皮質肥大モデルマウスを用いた解析により、胎生早期の脳において前方領域に位置する神経幹細胞の遺伝子発現に変化が見られることを見出した。特に細胞増殖や脳の領域化に関わる遺伝子に顕著な発現変動が見られている。このような脳発生初期の神経幹細胞の状態変化は、その後産生する分化細胞の種類や数に影響を与える可能性がある。この可能性を検証するため、生後に肥大した前頭前皮質領域において各種ニューロンサブタイプマーカー、グリア細胞マーカーを発現する細胞の数および配置の変化を調べた。その結果、特定の皮質層のニューロンサブタイプマーカーを発現する細胞の構成比に変化が見られる可能性を示唆する結果を得た。今後は、この結果をさらに検証し、特定の皮質層の異常が神経回路や行動異常を引き起こしている可能性についても調べていきたい。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
肥大した脳部位において、どのような組織学的な変化が見られるのかを検討した結果、前頭前皮質の特定の皮質層において細胞構成比に変化が見られる可能性を示唆する結果を得た。
|
Strategy for Future Research Activity |
細胞構成比の変化が見られた皮質層において、どのような遺伝子発現および回路形成に変化が見られるのかを明らかにする。これにより、特定の皮質層の異常が神経回路や行動異常を引き起こすという可能性およびメカニズムを検証したい。
|
Causes of Carryover |
生後の行動変容につながる可能性のある神経幹細胞における分子的変化を検証するための再現実験費用を2024年度に持ち越した。
|
Research Products
(3 results)