2021 Fiscal Year Research-status Report
極長鎖脂肪酸産生による神経軸索成長の制御機構の解明
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21K06390
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
本多 敦子 新潟大学, 医学部, 助教 (40467072)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
野住 素広 新潟大学, 医歯学系, 講師 (00420323)
伊藤 泰行 新潟大学, 医歯学系, 助教 (70710573)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 極長鎖脂肪酸 / 神経成長円錐 / 神経軸索成長 / セラミド / 脂質ラフト |
Outline of Annual Research Achievements |
申請者はこれまでに、神経成長円錐の形質膜に脂質マイクロドメイン(脂質ラフト)が多く存在し、そこに集積するシグナル分子の集積・活性化により軸索成長が制御されることを示している。脂質ラフトの形成や機能には極長鎖脂肪酸産生が関与しており、成長円錐には極長鎖脂肪酸産生酵素が多く局在するが、両者の関係性は不明である。そこで申請者は、神経成長円錐での極長鎖脂肪酸産生の、脂質ラフト形成や軸索成長における生理的役割を解明するため、成長円錐に豊富な極長鎖脂肪酸産生酵素 GPSN2に着目し、その欠損マウスを作製・解析を行っている。 オミクス解析により、GPSN2ノックアウトマウス胎仔脳の成長円錐における脂質(アシル鎖長別)産生・代謝の変化をノンターゲット解析したところ、ノックアウトマウスにおいて極長鎖脂肪酸を含む特定の脂質合成が阻害されていた。 極長鎖脂肪酸産生阻害による成長円錐の形態・動態変化を解析するため、超解像度顕微鏡および共焦点顕微鏡を用いて、GPSN2ヘテロマウス胎仔脳神経細胞や、脂肪酸伸長酵素shRNAノックダウン神経細胞の成長円錐のイメージング解析を行ったところ、極長鎖脂肪酸産生阻害による成長円錐の形態・動態異常が認められた。同標本における、成長円錐における脂質ラフトの形成や分布の変化を、蛍光標識脂質ラフトマーカーを用いて解析した。 さらに神経細胞の軸索成長や神経回路形成における変化を細胞、組織レベルで解析するため、成長円錐の形態・動態に変化が見られた細胞における軸索成長の異常をライブイメージングにより解析した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
GPSN2ノックアウト神経細胞の成長円錐画分のオミクス解析により、GPSN2発現阻害による極長鎖脂肪酸を含む特定の脂質合成への作用を確認し、成長円錐の形態・動態解析や、軸索成長・神経回路形成解析から、成長円錐形成や軸索成長におけるGPSN2発現の作用も同定した。これらのGPSN2発現による作用と脂質ラフト形成との関連性を、脂質ラフトマーカーを用いて解析している。
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Strategy for Future Research Activity |
GPSN2発現阻害による極長鎖脂肪酸産生の阻害が、成長円錐における形態・動態変化や軸索成長・神経回路の形成にどのように影響しているのか、下記の3つのアプローチから、脂質ラフトにおける変化を解析して分子メカニズムを明らかにすると共に、個体や組織における生理的機能を解明する。 1) オミクス解析により、GPSN2 ヘテロマウス胎仔脳の成長円錐由来の脂質ラフトにおけるタンパク質発現、および脂質産生・代謝の変化をノンターゲットに解析する。 2) 脂肪酸伸長サイクル阻害による成長円錐での脂質ラフトの形成・分布の変化を、蛍光標識脂質ラフトマーカーを用いて超解像イメージングにより解析する。さらに、脂質ラフト画分のプロテオミクスで変化した分子の成長円錐での局在変化を解析する。 3) マウス胎仔脳内へのshRNAのin utero エレクトロポレーションを行い、ノックダウンまたはノックアウト神経細胞の脳形成過程における軸索伸長や神経回路形成の異常を解析する。
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Research Products
(3 results)