2021 Fiscal Year Research-status Report
成体の神経筋接合部シナプスの維持におけるCcnファミリー因子の役割
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21K06392
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
大河原 美静 名古屋大学, 医学系研究科, 准教授 (80589606)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 神経筋接合部 / 運動機能テスト / CTGF / Ccnファミリー因子 |
Outline of Annual Research Achievements |
神経筋接合部(NMJ)は運動神経と筋肉を結ぶシナプスである。研究代表者は胎生期の神経筋接合部の形態形成と機能にCtgfがLrp4と結合し、Lrp4たんぱく質が細胞膜上に維持されることが必要であること報告した。Lrp4が胎生期だけではなく成体NMJの維持にも必要であることが分かっているため、本研究では、Ctgfやそれが属するCcnファミリー因子が同様にNMJの維持に必要であるかを検討した。令和3年度は、エレクトロポレーション技術を用いCtgf(Ccn2)遺伝子に対するshRNA(shCtgfとする) をCtgf+/-マウス前脛骨筋筋繊維に導入しCtgfの発現抑制を行った。そして2週間後にこのマウスの①歩行時の筋力をCatWalk systemやビームテスト(網でできた橋を渡る際の踏み外すステップの数と速度を測定する)で評価し、それぞれの前脛骨筋の筋力と運動能力の評価を行う。次に、②前脛骨筋の筋繊維を繊維ごとに顕微鏡下でばらばらにし、それぞれの神経筋接合部の大きさや形態を免疫染色で確認後、Metamorphソフトウェアで測定・解析した。加えて、shCtgfと同時にヒトCtgfcDNAを同時に導入することで、shCtgf発現低下によって見られた変化がヒトCtgfの過剰発現で回復するかについて、実験①②を行って検討した。①②の結果より、マウスCtgfは筋力を維持するために必要であり、これは神経筋接合部の形態形成を保つ機能に寄ることが明らかとした。この他にもCtgf以外のCcnファミリー因子のうち、Ctgfと共通のドメインをもち成体筋肉において多く発現する因子がCyr61(Ccn1)とNov(Ccn3)であることを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Ctgf以外のCcnファミリー因子のうち、Ctgfと共通のドメインをもち成体筋肉において多く発現する因子がCyr61(Ccn1)とNov(Ccn3)であることを明らかにしたことから、来年度行う予定だった、Ctgf以外にNMJで機能する可能性がある因子がCyr61とNovに絞られた。またこの二つの遺伝子に対するshRNAも作成済であることから、「概ね順調に進展している」とした。
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Strategy for Future Research Activity |
今後も当初の計画通りCtgf因子以外のCcnファミリー因子の発現抑制を行い、またこれら因子とLrp4の関係について、検討をしたい。また、これら因子のドメイン解析なども行い、どの因子のどのドメインがNMJの機能維持、ひいては運動機能維持に役割を持っているかについて検討したい。また、本年度はコロナウィルス感染拡大の影響を受けて、中止もしくは規模を縮小した学会などにも積極的に参加したい。
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Causes of Carryover |
昨年度コロナ禍の中で本来予定していた学会を不参加とし、その分を研究費として使用した。しかし、さらなる検討を細胞免疫染色で行うための抗体が期日通りに間に合わず、計画を延長した。また、動物舎の増設に伴うマウスとNoldus社のCatWalk XTシステムの移動を行う必要もあり、動物飼育費を申請した。加えて、Ctgf以外のCcn因子に対するshRNAコンストラクトを作製する必要もあり、分子生物学的な予算を計上した。
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