2023 Fiscal Year Annual Research Report
神経幹細胞特異的なエンハンサーによる遺伝子発現制御機構の解明
Project/Area Number |
21K06396
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
佐野坂 司 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 助教 (40588472)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
裏山 悟司 奈良県立医科大学, 医学部, 助教 (90609976)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | エピジェネティクス / エピゲノム |
Outline of Annual Research Achievements |
エンハンサーと呼ばれるゲノム領域は数百塩基の長さからなるが、そこに転写因子が結合すると標的遺伝子の発現にスイッチが入ることから、エンハンサーは遺伝子の発現制御において中心的な役割を担っているといえる。また、近年複数のエンハンサー領域が協調的に働いているということが報告され、1領域の解析ではなく、ゲノム全体でエンハンサー領域を網羅的に捉えることが重要である。本研究課題では、神経幹細胞特異的エンハンサーの同定に加え、その中でもエンハンサー活性を持っている真のエンハンサーの同定を試みた。近年、エンハンサー領域からはenhancer RNA(eRNA)と呼ばれるnon-coding RNAが発現しているという報告がなされていることから、そのeRNAの発現を条件として候補領域を705箇所同定した。それら領域には、既に神経幹細胞のエンハンサーとして知られる領域が多数含まれており、精度良く実験系が機能していることが確認できた。また、eRNAとmRNAの発現を1細胞レベルで解析可能なRamDA-Seqを行い、エンハンサーの標的遺伝子の同定を試み、既知遺伝子に加え、新規の標的候補遺伝子を複数同定した。 さらに、これらの同定した候補領域におけるエンハンサー活性制御機構を解析する為に、このeRNA発現領域に結合しうる因子をChIP-Seqデータベースを用いて網羅的に探索し、数種類の候補因子を同定した。
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