2023 Fiscal Year Research-status Report
Elucidation of Ca sparks in CNS presynaptic terminals
Project/Area Number |
21K06398
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Research Institution | Jikei University School of Medicine |
Principal Investigator |
中村 行宏 東京慈恵会医科大学, 医学部, 講師 (40460696)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | シナプス前終末 / カルシウムチャネル / 神経伝達物質 / 平行線維 |
Outline of Annual Research Achievements |
シナプス前終末において、活動電位非依存的に発生する一過性のCa上昇を‘Ca spark’と呼ぶ。2021-22年度は脳幹聴覚伝導路上の巨大シナプスのヘルド萼状シナプス終末端におけるCa sparkの性質を調べ、Ca parkは主にシナプス前終末の枝分かれして膨大した先端部(swellings)で発生すること、発生には電位依存性Caチャネル以外のメカニズムが関わることを明らかにした。研究計画加速のため2023年度は遺伝的蛍光CaセンサーGCaMP6sをヘルド萼状シナプス前終末に発現した動物を用いるを予定だったが、共同研究先のトラブルにより動物系統作製に遅れが生じたため研究機関全体を1年延長するとともに、中枢神経系の他のシナプス前終末でもCa spark同様の現象が見られるか検討した。マウスの急性スライス標本を作製し小脳顆粒細胞へCa感受性蛍光色素を導入し、平行線維boutonにおいて共焦点顕微鏡観察によるCaイメージングを行った。しかし活動電位非依存的なCa上昇は認められなかった。海馬苔状線維で引き続き検討中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
共同研究先において脳幹のヘルド萼状シナプス終末端特異的にCaセンサ-GCaMP6sを発現したマウス系統を作製したが、動物施設のトラブル等により2022年度中の予定が2023年末までずれ込んだ。このためヘルド萼状シナプスの実験は一時的に中断し、小脳平行線維boutonで同じような現象が確認されるか観測を試みた。生後3週齢のマウスから作製した小脳急性スライス標本で顆粒細胞にホールセルパッチ電極からCa感受性蛍光プローブCalbryte-520を導入し、プローブが平行線維まで十分侵入するのを待ってから共焦点顕微鏡にてCa測光を行った。顆粒細胞にパッチ電極から電流注入によって活動電位発火を誘発した場合は平行線維boutonでCa濃度の一過性上昇が観察されたが、発火がなかった場合には長時間の記録中においても顕著なCa濃度の上昇は観察されなかった。これが測光の感度や色素の感受性など技術的な原因であるかどうかはさらなる検討を要する。
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Strategy for Future Research Activity |
小脳平行線維boutonではCa sparkは検出されなかったため、脳幹のヘルド萼状シナプス終末端に戻って研究を続行する。脳幹のヘルド萼状シナプス終末端特異的GCaMP6s発現マウスを導入繁殖後、当初の計画を続行する。
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Causes of Carryover |
動物系統の樹立の遅延以外にも、2023年度は他のプロジェクトや共同研究を優先的に進める都合上、本研究に割り当てる時間的リソースを削減する必要に迫られた。進捗をスローダウンして研究計画の1年延長を2023年度の早い時期に決定したので、動物(輸送)費や試薬等消耗品の大部分を2024年度に繰り越すことになった。最終年度使用予定額のほぼ全額を当初計画より1年後ろ倒して執行する予定である。
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Research Products
(3 results)