2023 Fiscal Year Annual Research Report
中枢神経障害下でのNG2グリアの挙動と髄鞘の再生機序の解明
Project/Area Number |
21K06443
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
畝川 美悠紀 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 研究員 (10548481)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
冨田 裕 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 講師(非常勤) (60276251)
伊澤 良兼 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 講師 (90468471)
滝沢 翼 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 講師 (30778874)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 脳微小循環 / Neurovascular unit / 脳虚血 / オリゴデンドロサイト / NG2グリア |
Outline of Annual Research Achievements |
脳は神経細胞、グリア細胞、栄養を供給する脳血管と互いに連絡を取りながら神経グリア血管ユニット(neuro-glio-vascular unit; NVU)を形成している。本実験では分化・再生能が高く、髄鞘を形成するオリゴデンドロサイトや周皮細胞、アストロサイトに分化するオリゴデンドロサイト前駆細胞(OPC)として存在するNG2グリアに焦点を当て、慢性頭窓下の同一部位を長期間反復して観察することによって成体における細胞および髄鞘の形態、脳虚血などの病態時の形態学的変化、髄鞘再生機序を検討し、病態改善のための作用機序の解明を目的とした。 NG2と高い共発現を有し、OPCおよびオリゴデンドロサイトに発現するSox10に蛍光タンパク質Venusを発現させた遺伝子改変マウスにTomita-Seylaz法による慢性頭窓を作成し、二光子顕微鏡を用いて長期間にわたって反復観察を行うことにより、細胞レベルでの変化を経日的に観察した。キレート剤であるクプリゾン混餌食(0.2%)を給餌することにより脱髄モデルを作成し、スルホローダミン101の腹腔内投与によって生体染色されるアストロサイトの形態学的変化を追跡する手法を確立した。さらに、実験的脳梗塞モデルとして知られる中大脳動脈(MCA)閉塞術を施行した病態モデルマウスを作成し、基本的な手技を確立するとともに、線条体や大脳皮質における脳血流の変化と梗塞巣の形成との相関、行動異常を伴う神経症状の出現、施行時に発生して梗塞巣の形成に影響を及ぼすと考えられている大脳皮質拡延性脱分極(CSD)との関連についても検討した。その結果、MCA皮質枝の一時閉塞時にはCSDの発生が梗塞巣形成に深く関与すること、MCA基始部の一時閉塞時では線条体の血流低下による組織障害が神経症状の発症に深く関与することが明らかになった。
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Research Products
(5 results)