2022 Fiscal Year Research-status Report
GABA作動性入力による発達期視床のシナプス改編ー維持の制御機構
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21K06444
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Research Institution | Tokyo Women's Medical University |
Principal Investigator |
植田 禎史 東京女子医科大学, 医学部, 准講師 (00511015)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 体性感覚 / 視床 / 視床皮質投射 / GABA作動性入力 / 持続性抑制 / ミクログリア |
Outline of Annual Research Achievements |
マウスの体性感覚視床を舞台に、シナプス維持におけるGABA作動性入力の役割について、シナプス外に局在するGABAA受容体を介した持続性抑制の働きに着目して研究を進めた。その過程で持続性抑制の強度がシナプス改編だけでなく視床皮質投射ニューロン(体性感覚視床の主ニューロンで、大脳皮質へ投射する)の発火活動性の変化にも影響することを明らかにした。発達期の視床回路改編が完了し、その回路構造と機能が維持される時期に末梢の感覚神経が損傷を受けると維持機構が破綻し、再び可塑的な神経回路の改編が引き起こされる。持続性抑制はこのシナプス改編を引き起こすメカニズムとして以前の論文報告で明らかにしたが、この際、シナプス改編を誘導すると同時に視床皮質投射ニューロンの興奮性可塑性の誘導にも関与していた。また、末梢部位の損傷によって直接は損傷を受けていない視床回路に可塑性が誘導される仕組みを明らかにするため、損傷を受けた末梢神経が入力し、視床へ投射するニューロンが局在する脳幹領域におけるミクログリア活性化に着目した。その結果、このミクログリア活性が、末梢神経損傷後の視床皮質投射ニューロンにおける持続性抑制の増強を制御することを明らかにした。ミクログリアによる持続性抑制の制御は、視床皮質ニューロンの発火特性も制御することから、末梢部位の損傷が遠く離れた視床へ神経可塑性を誘導する仕組みとして、脳幹から視床への上行性投射経路を経由した神経免疫系と抑制性シグナルの重要性を明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでの研究成果を2023年3月の日本生理学会大会にて発表し、論文投稿準備を進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
GABA作動性入力のシナプス改編における役割を調べることから研究計画が始まったが、その後にシナプス可塑性だけでなく興奮性可塑性の制御にも関与することが明らかとなり、研究の枠が拡張された。今後は先ずこれまでの成果を論文発表することに注力したい。
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Causes of Carryover |
年度末近くで購入手続きを進めた物品の支払いが年度明けになったため、一部助成金が翌年度分に継続された。
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Research Products
(3 results)