2021 Fiscal Year Research-status Report
Asymmetric synthesis via aryne intermadiate with dynamic chirality
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21K06452
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
吉村 智之 金沢大学, 薬学系, 准教授 (20432320)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | キラルビベンザイン / 不斉記憶 |
Outline of Annual Research Achievements |
キラルビベンザインの前駆体となる 3,3'-diiodo-6,6'-dimethyl-2,2'-bis(trifluoromethansulfonyloxy)-1,1'-biphenyl の合成を行った。文献既知法でキラル 6,6'-dimethyl-2,2'-biphenol (80~99% ee) を合成後,水酸基をメトキシメチル基で保護した。これに対し,o-リチオ化による位置選択的ヨウ素化を試みた。種々条件検討の結果,TMEDA 存在下,n-BuLi を用いることで 41% 収率で所望の化合物が得られた。本反応では,副生成物としてモノヨウ素体が得られること及び,反応が完結しないことが収率の低下に繋がっている。しかしこれらはカラムで分離可能であったので,分離後,所望の化合物に対しメトキシメチル基の除去と水酸基のトリフリル化により,ビベンザイン前駆体の合成を完了した。 合成した基質 (88% ee) に対し,フラン存在下,n-BuLi を作用させると [4+2]付加環化反応が進行した生成物がジアステレオマー混合物として 80% 収率で得られた。得られたジアステレオマー混合物をボロントリフルオリドエーテル錯体で処理すると,異性化が進行しビナフトールが 34% 収率で得られた。このビナフトールの光学純度は 88% ee であったことから,生成物の光学純度を保持したまま反応が進行することが分かった。現在,ビベンザインとの双極子付加環化反応についても検討している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
キラルビベンザイン発生のための前駆体合成ルートの確立を行うことができ,80~99% ee で所望の化合物を供給できるようになった。ルート途中に中程度の収率の段階があるものの,概ね問題無く基質供給ができており,反応条件の精査も滞りなく進められている。 また,当初の計画通り,キラルビフェニル誘導体から光学純度を保持したまま生成物が得られた。以上の理由により,当初計画通り概ね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
現在キラルビベンザインとの付加環化反応の例が乏しい。そのため,双極子付加環化反応や [2+2]付加環化反応を検討し,その光学純度を評価し,不斉合成法として一般性の高い反応であることを確かめる。また,前駆体合成の収率改善にも取り組んでゆく。 次に,反応機構の解明に向けて,実験及び計算化学の手法を駆使して研究を推進してゆく。
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Causes of Carryover |
分析用のキラルカラム購入を考えていたが,当初から所有していたカラムで分析が可能であった。そのため、キラルカラムの購入を見送った。 今年度は、種々の基質に対して光学純度の決定を行う必要があるので、新たなキラルカラム購入を行いことを予定している。
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Research Products
(3 results)