2021 Fiscal Year Research-status Report
生合成経路を模倣する生物活性メロテルペノイドの全合成研究
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21K06458
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
中村 精一 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(薬学), 教授 (90261320)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | エポキシアリルシラン / 短工程合成法 / 触媒的不斉還元 / ポリエン環化反応 / ルイス酸 / 架橋環 |
Outline of Annual Research Achievements |
先行研究となるポリエン環化反応による架橋環構築に関する論文を投稿した際、査読者からは基質調製の工程数の多さが指摘されていた。そこでまず、全合成に向け、鍵反応に用いるエポキシアリルシランの短工程合成法の開発を行った。 はじめにゲラニオールより容易に調製可能なアリルブロミドを用いて2-メチルシクロヘキサン-1,3-ジオンのアルキル化を試みた結果、含水2-プロパノール中、塩基としてジイソプロピルエチルアミンを用いるとよいことがわかった。続いて1,3-ジケトンの不斉還元を行い、光学活性ジアミン誘導体が配位したルテニウム触媒を用いて水素転移型還元を行うと、目的の立体異性体が88:12のジアステレオ選択性、99%の鏡像異性体過剰率で得られることを見出した。生じた水酸基をシリル化した後、Mander試薬によるβ-ケトエステルへの変換、クロスカップリングによるアリルシラン部の構築、Sharpless不斉エポキシ化による側鎖部へのエポキシドの導入など8工程を経て鍵反応の基質となるエポキシアリルシランを合成することができた。従来の18工程から10工程へ、工程数を大幅に短縮できたことになる。 環化反応の反応剤としては従来、塩化鉄を用いていたが、再現性に問題があったことから、改めてスクリーニングを行った。Bronsted酸を用いた場合には反応は効率的に進行しなかったが、ある程度の強さのルイス酸を用いると良好な収率で目的の三環性化合物が得られることを見出した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
工程数が多かったため、ポリエン環化反応の基質調製に苦労していたが、触媒的不斉合成により短工程化でき、懸案が解消されたから。
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Strategy for Future Research Activity |
ポリエン環化反応における課題は、アリルシラン部の求核攻撃が起こらないために生じる二環性化合物の副生である。アリルシラン部の求核性を高めることにより改善可能と考えられる。環化生成物からの変換を検討し、早急に全合成を達成する。
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Causes of Carryover |
学会などがオンラインで行われたため、交通費や宿泊費がかからなかった。また、新型コロナウイルス対策で実験補助の雇用を最低限にし、備品の購入も控えたことから次年度使用額が生じた。 令和4年度交付分と合わせると計画調書に書いた金額とほぼ同じになることから、計画調書に沿って研究を進める。
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