2022 Fiscal Year Research-status Report
生合成経路を模倣する生物活性メロテルペノイドの全合成研究
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21K06458
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
中村 精一 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(薬学), 教授 (90261320)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | ポリエン環化反応 / エポキシアリルシラン / 架橋環 |
Outline of Annual Research Achievements |
ポリエン環化反応によりバークレーオン類が持つ架橋多環式骨格を構築する場合、架橋部と求電子性アルケン部位との立体反発が問題となる。そこで、橋頭位(C7位)に隣接するC8位に導入する置換基の種類およびその立体化学が環化反応に及ぼす影響について調べた。 TBSオキシ基がβ配置で置換した基質Aを用いた場合、反応は0℃で進行して目的物が収率47%で得られたのに対し、その立体異性体Bを用いると反応は-20℃で進行するようになったものの、ヒドリド転位を経て生じたケトンが30%副生したことから、収率の改善には結びつかなかった。C8位がカルボニル基となった化合物Cを基質とした場合、懸念されたカルボニル酸素原子の求核攻撃は起こらず、目的の架橋三環式化合物は得られたが、基質Aを用いた場合と同様の結果しか得られなかった。C8位にエキソメチレンを導入した基質Dを用いると反応温度を-20℃に低下させることができ、収率は50%に達した。一方、カルボニル基をエチレンアセタールで保護した基質Eを用いると架橋環形成は起こりにくくなり、環が1つだけ形成された化合物の生成が増える結果となった。 なお、各種基質を調製するにあたり、求核部位となるTMSメチル基をPd触媒によるクロスカップリング反応によって導入しているが、C8位置換基の種類によって収率が大きく左右されることが明らかとなった。この結果から、基質調製と環化、両方の効率を考慮して置換基を選択する必要があることがわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
体調不良により、共同研究者の大学院生に実験できない期間ができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
C9位へは最終的にメチル基を導入する必要がある。工程数削減の目的で、初期の段階から導入して合成する計画に変更することにした。ポリエン環化で得られた生成物に対して閉環メタセシスなどを行い、全合成を達成する。
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Causes of Carryover |
昨年度繰り越した金額が412,614円あったため。 令和5年度交付分と合わせても計画調書に書いた金額より10万円強少ないことから、無駄な経費を省きつつ計画調書に沿って研究を進める。
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