2021 Fiscal Year Research-status Report
LSD阻害剤の創製:LSD1阻害剤の創薬展開およびLSD2機能解明の基盤構築
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21K06461
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Research Institution | Kogakuin University |
Principal Investigator |
松野 研司 工学院大学, 先進工学部, 教授 (50433214)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
梅原 崇史 国立研究開発法人理化学研究所, 生命機能科学研究センター, チームリーダー (20415095)
川瀧 智之 山梨大学, 大学院総合研究部, 准教授 (20303406)
大野 修 工学院大学, 先進工学部, 准教授 (20436992)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 医薬化学 / 創薬 / 抗がん剤 / エピジェネティクス |
Outline of Annual Research Achievements |
エピジェネティクスが創薬標的として認識されるようになった中で、ヒストン中のメチル化リシンを脱メチル化する酵素lysine specific demethylase (LSD)が注目されている。LSDには2種類のパラログ(LSD1, LSD2)が存在している。このうちLSD1は、各種がん細胞の増殖や浸潤能に関与しており創薬標的として期待されている。一方でLSD2の機能には、未知な点が多い。 すでに本報告者は、独自にLSD1阻害剤cis-1およびLSD2阻害剤trans-2を見出しており、既知阻害剤と比較しても最強部類に属している。そこで、①LSD1阻害剤cis-1を医薬品リード化合物として進化させるとともに、②LSD2阻害剤trans-2の進化によりLSD2機能解明の基盤を構築することを目的として研究を展開した。 ①に関しては、化学構造中のPh基の置換基が活性の強弱に大きく影響することを見出していたが、今年度はその位置と種類に関して精査した。その結果、4位ハロゲン原子の存在に加え、そのオルト位にハロゲン原子が存在することによりLSD1阻害活性が飛躍的に増強されることを見出した。これらの構造活性相関を踏まえた誘導体合成により、リード化合物cis-1よりも活性がlogスケールで増強し、目標活性(IC50 < 10 nM)を示す複数の化合物を見出すことに成功した。また興味深いことに、強活性を示す化合物の立体化学に関しては、論文既知LSD1阻害剤とは異なりcis>transであった。 ②に関しては、trans-2の構造的特徴である酸性官能基Zに着目し、誘導体合成を展開した。その結果、Zとは異なる酸性官能基でも活性が保持されることを見出した。 上述の研究成果の一部に関しては、複数の学会で発表するとともに、学術雑誌に投稿した(査読中)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
LSD1阻害剤は初年度の目標に到達した一方で、LSD2阻害剤は目標に未達であるため。
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Strategy for Future Research Activity |
LSD1阻害剤に関しては、当初計画通り研究を進める。すなわち、医薬品リード化合物としての適格性(薬効薬理・薬物動態・安全性)を評価する。またバックアップとして誘導体合成&評価を継続する。 LSD2阻害剤に関しては、引き続き誘導体合成&評価を継続することで目標を達成し、LSD2機能解明に向けた化学基盤を構築する。 両阻害剤において、X線結晶構造解析を実施し、新たな化合物設計(SBDD)に反映させる。
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Causes of Carryover |
比較的少ない化合物合成により活性向上ならびに構造活性相関解明に成功したため、計画時に購入予定の検体乾燥機が不要であり、また試薬購入も当初計画以下であった。
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