2022 Fiscal Year Research-status Report
synthesis of heteropolycyclic building blocks via catalytic cycloisomerization reactions
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21K06462
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Research Institution | Musashino University |
Principal Investigator |
穴田 仁洋 武蔵野大学, 薬学部, 教授 (90344473)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | アルキン / 環化異性化 / Rh(II)カルボキシラート錯体 / スルホンアミド / 含窒素ビルディングブロック |
Outline of Annual Research Achievements |
二核ロジウム(II)錯体を用いた触媒的環化異性化反応を鍵反応とする含窒素複素環ビルディングブロック構築とその応用についての研究を行い、本年度は下記の成果を得ることができた。 (1) Rh2(pfb)4を用いたN-シクロヘキセニル-N-プロパルギルスルホンアミドの環化異性化反応において、窒素原子上の置換基効果について検討を行ったところ、フェニルスルホニル基上の置換基の電子求引性の低下に伴い収率が低下すること、ベンゼン環上の置換基は4位よりも2位に存在すると収率が向上する傾向にあることが分かった。 (2) 環化異性化反応で得られたシクロプロパン環が縮環した三環性スルホンアミドの二重結合を位置および立体選択的なヒドロホウ素化を行った後に生じたアルコールを酸化して調製されたシクロプロピルケトンに対し、ギ酸中ヨウ化ナトリウムで処理すると位置および立体選択的なシクロプロパン環の開環が進行し、高収率でγ-ヨードケトンが得られることを明らかにした。 (3) アルキン末端にアリール基が置換した基質を用いると当初予想したシクロプロパン環が縮環した三環性スルホンアミドではなく、exoメチレン部位をもつヘキサヒドロインドールが中程度の収率で得られることが分かった。 (4) 1,5-ジアリール-1-ペンチンの7-endo型分子内ヒドロアリール化反応を行うべくRh2(pfb)4を作用させたが反応は全く進行しなかった。代わりにTfOHを用いると低収率ながら所望の9-アリールベンゾスベレン誘導体が得られることが分かった。現在収率の向上を目指し反応条件の最適化を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Rh2(pfb)4を用いたN-シクロヘキセニル-N-プロパルギルスルホンアミドの環化異性化反応における各種置換基効果を詳細に検討することができ、反応適用範囲を明らかにすることができた。特にアルキン末端上にアリール基が置換した場合に反応のモードが大きく変化するという予期しなかった新たな反応モードを見出すことができたことは、今後の反応系設計の指針を示すものと評価している。また、シクロプロパンが縮環した三環性スルホンアミドの新たな変換方法を提示することができ、これらの化合物をビルディングブロックとする有用物質合成の道筋を示すことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は本年度に得られた知見を基に、環化異性化反応を鍵反応含窒素複素環骨格をもつ生物活性物質合成の他、シクロプロパンを持つ含窒素天然物アナログの合成を展開していく予定である。 また、二核ロジウム(II)錯体を用いた場合に特徴的な興味深い知見を得ることができたことから、次年度はそれらの反応についてさらに詳細に条件検討を行っていきたい。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症拡大に伴う研究活動制約により試薬や実験器具の購入頻度が低下したため。次年度は本年度実施できなかった実験用の試薬および実験器具購入に充てる予定である。
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