2021 Fiscal Year Research-status Report
Development of a novel method for constructing a heterocyclic skeleton using ring opening of a small ring compounds
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21K06465
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Research Institution | Kobe Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
上田 昌史 神戸薬科大学, 薬学部, 教授 (00340935)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | ヒドラゾン / トリアゾール / インドール / ヨウ化水素 |
Outline of Annual Research Achievements |
ヒドラゾンは、単純なイミンと同様にイミノ炭素は求電子性を有しており、Grignard試薬との求核付加反応やトリエチルシランによる還元反応などが報告されている。 一方で、ヒドラゾンはアミノ窒素がもつ非共有電子対とC=N結合の共鳴により、イミン類でありながら反応条件によってはイミノ炭素が求核性も示す興味深い化合物である。そこで、本年度はまずヒドラゾンのイミノ炭素上の求核性に着目し、ヒドラゾンの合成化学的有用性の拡大を目指して、多様なアルキル基を有する1,2,4-トリアゾールの新規合成法の開発を検討した。容易に合成可能なN,N-ジアルキルヒドラゾンをニトリル溶媒中、NCSおよびBF3OEt2と遮光条件下反応させると形式的[3+2]付加環化反応および脱アルキル化反応が進行して、多置換トリアゾールが得られることを見出した。本反応は、通常合成が困難な窒素原子上にアルキル基をもつ1,2,4-トリアゾールも合成できる汎用性の高い合成手法である。 次に、tBuIの加熱により生成する無水ヨウ化水素を還元剤およびブレンステッド酸として利用したN-アリール-C-シクロプロピルヒドラゾンのFischer型インドール環形成反応を検討した。フェニルヒドラジンとシクロプロピルアセタールを加熱条件下、tBuIで処理すると、期待通り3位置換インドールが得られことが明らかとなった。本反応では、まずN-アリール-C-シクロプロピルヒドラゾンが生成した後、Fischer型の転位が起こり、スピロインドレニンへと変換される。その後ヨウ化物イオンのシクロプロピル基への求核攻撃による開環反応の後、ヨウ化水素による還元が連続的に進行し、インドールが生成したと考えている。また、本反応は様々な置換様式をもつインドールの合成が可能であることが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
研究計画に従って研究を遂行中に、予期していなかった反応を見出し、その確立を目指して精力的に研究を行った結果が、2021年度の成果であった。当初計画した研究も順調に検討できていることから、1年目としては、予想以上の進展であると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
ピロリジン環を有するアルキニルヒドラジドの環拡大を伴う閉環反応をピペリジン環を有するアルキニルヒドラジドを検討する。既に同じ反応条件ではあまり効率的に反応が進行しないことが明らかとなっており、触媒系の再検討から基質一般性の確立までを検討する。さらに、環状N-アルコキシプロピオル酸アミドの連続的閉環-開環反応と置換基導入を一挙に行う金触媒を用いたオキシアリール化による4-アリール-3(2H)-イソオキサゾロン合成を検討する。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由:初年度であるため、節約しながら研究を進めた結果、次年度使用額が生じた。 使用計画:主に、試薬や溶媒の購入に利用する予定である。また、成果発表のための旅費としても利用する。
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Research Products
(6 results)