2021 Fiscal Year Research-status Report
Aerobic C(sp3)-H functionalization for the synthesis of heterocyclic compounds
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21K06470
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
熊田 佳菜子 東北大学, 薬学研究科, 助教 (30748504)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 炭素-水素結合官能基化 / 複素環化合物 / 分子状酸素 / 銅触媒 / フェナントリジン / ベンゾラクトン |
Outline of Annual Research Achievements |
遷移金属触媒を用いたsp3炭素-水素結合の直截的な官能基化による複素環化合物の合成法は,アトムエコノミー(原子効率)・ステップエコノミー(短工程)に優れた有用な手法である.しかしながらこれまでの報告は,金属や超原子価ヨウ素,過酸化物等の酸化剤を化学量論量以上用いており,安価な試薬を用いた廃棄物を出さない新規化学プロセスの開発が求められている.今回私は,銅と酸素分子から形成される copper-oxo 錯体を用いることで,分子状酸素を酸化剤としたsp3炭素-水素結合官能基化反応が進行し,含窒素および含酸素複素環骨格の構築が可能になると考え研究を行った. 初めに,アニリン誘導体のsp3炭素-水素結合官能基化によるフェナントリジン骨格構築法の開発を目指し,2'-benzyl-[1,1'-biphenyl]-2-amineをモデル基質として用い,反応条件の検討を行った.検討の結果,Cu2O 5 mol%, TBAOH (10% in MeOH) 5 mol%, DCE溶媒中, 80 °C ,酸素バルーンを用いて反応を行うことで,フェナントリジン体が良好な収率で得られることが分かった.現在,基質適用範囲の拡大や反応機構の解明を目指し検討を行っている. また,含酸素複素環化合物合成法についても研究を行っており,2-isopropyl-N-phenylbenzamideをモデル基質とし, Cu2O 5 mol%, DMAP 10 mol%,酸素雰囲気下,DCE溶媒中で反応を行うことで,sp3炭素-水素結合官能基化によるベンゾラクトン合成が可能であることを見出した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
「研究実績の概要」の項で記述したように,分子状酸素を用いた銅触媒によるsp3炭素-水素結合官能基化により,フェナントリジン,ベンゾラクトン類が合成できることを見出しており,研究は順調に進展していると考えられる.
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Strategy for Future Research Activity |
広範な基質に対し分子内sp3炭素-水素結合官能基化を行うことで,様々な複素環化合物の合成を可能にする.さらに,本プロセスをより実践的で有用な複素環化合物合成法に発展させるため,生理活性物質の合成への展開も同時に推進していく.
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Research Products
(13 results)