2023 Fiscal Year Annual Research Report
物理刺激による電子励起状態発生を鍵とするヘテロ元素導入反応の開発
Project/Area Number |
21K06472
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
王 超 金沢大学, 薬学系, 准教授 (90610436)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 電子移動反応 / 励起状態 / ヘテロ元素 / ラジカル / 誘導体化反応 / 機能性分子創製 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、14 族ヘテロ元素の電子励起特性を利活用し、14 族ヘテロ元素官能基を自在に導入する新規分子変換反応の開発に取り組んだ。期間内に実施した研究の代表的な成果を以下に紹介する。 1) 可視光による芳香族化反応に基づく 14 族ラジカル種の発生法。本研究では、可視光による選択的な Si-C/Ge-C 結合の均等開裂の新手法の実現により、温和かつ効率的な Si、Ge ラジカル種の新たな発生法を開発した。本反応は、簡便な手法にて、大量かつ高収率で合成が可能である 14 族ラジカル前駆体を用い、様々な Si、Ge ラジカル種の発生・変換に適用できる。本研究結果の一部は、Org. Lett. 誌に掲載している。 2) EDA 錯体誘起 HAT 反応による 14 族ラジカル種の発生法。本研究では、EDA 錯体の物理・化学的特性を活かし、Si-H/Ge-H 結合の HAT 反応の新手法の確立により、14 族ラジカル種の新しい発生法の開発に成功した。本反応は、従来法に必須な光触媒を使用せず、市販の簡単化合物により EDA 錯体を系中で触媒的に発生させることで、Si、Ge ラジカル種の効率的な発生・変換を実現した。本研究結果の一部は、Chem. Eur. J. 誌に掲載している。 3) アルキンの位置・立体選択的チオホウ素化反応。本研究は、上記の 14 族ラジカル化学の新知見を更に拡張し、B ラジカル種の活用による革新的分子変換反応の創出を目標とし、ホウ素の優れた Lewis 酸性の活用により、B と S を “one reagent, one step, one isomer” で導入する新手法を初めて実現した。本研究結果の一部は、国際誌に投稿した(審査中)。 本研究により開発されたヘテロ元素化学新反応は、ヘテロ元素を利用した未踏分子・未知機能の創出が期待される。
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