2022 Fiscal Year Research-status Report
シスCD縮環型ステロイドの立体選択的合成法開発と抗癌性化合物探索への展開
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21K06473
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
松谷 裕二 富山大学, 学術研究部薬学・和漢系, 教授 (50255858)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | オルトキノジメタン / 分子内Diels-Alder反応 / シスCD縮環型ステロイド骨格 |
Outline of Annual Research Achievements |
オルトキノジメタンの分子内Diels-Alder反応を活用して、シスCD縮環型ステロイド骨格の効率的構築を実現するため、前年度までにA環に相当するベンゾシクロブテン誘導体の合成を達成し、CD環相当部は中間のジオール構造まで誘導することができた。今年度は、2つの水酸基を区別するため、まずは塩基性条件下での分子内ラクトン化による一方の水酸基の選択的保護を検討した。その結果、高収率にてスピロラクトン化が進行することが明らかとなり、残る一方の水酸基のTBS保護に成功した。しかしながら、その後のスピロラクトン環の開環条件を種々検討したが、最高収率が8%にとどまり、効率的な合成ルートには結び付かなかった。 そこで、ジオール構造のままで選択的に一方だけをTBS保護する方策へと切り替え、詳細な反応条件の検討を行ったところ、低温化にてTBSClを作用させる条件にて、62%の収率で目的を達せられることを見出した。その後、残った水酸基をセレネニル化ー酸化を経由する脱水反応に付し、TBS基を除去してSwern酸化することで、目的のCD環相当部の合成に成功した。 また、これらの検討とは別に、CD環相当部のモデル化合物の合成を行い、D環の酸化状態を上げることで天然物アンドラスチンと同等の構造へと変換するルートについても、予備実験を開始している。こちらの変換ルートが確立できれば、最終目的のオルトキノジメタン分子内Diels-Alder反応の後にD環修飾を達成できるものと見込んでいる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
オルトキノジメタンの分子内Diels-Alder反応の基質となる、A環相当部とCD環相当部の化学合成を達成でき、今後はその連結体の分子内Diels-Alder反応の詳細検討へと進むことができる。また、D環の酸化方法の検討にも着手できている。
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Strategy for Future Research Activity |
本計画の鍵反応である、オルトキノジメタンの分子内Diels-Alder反応の検討を進め、環化生成物の立体化学解析を行って、rans(BC)-syn-cis(CD)選択的な合成が達成できるか検証を行う。 また、CD環のモデル化合物の酸化と引き続く脂溶性側鎖導入を検討して、アンドラスチン類縁化合物の合成と抗癌活性評価へと繋げたい。
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Causes of Carryover |
試薬等の消耗品にかかる支出が、想定よりも低く抑えられたため。次年度は、正規配分額とたし合わせて、消耗品費、旅費、測定費を中心に執行する予定である。
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Research Products
(2 results)