2023 Fiscal Year Annual Research Report
シスCD縮環型ステロイドの立体選択的合成法開発と抗癌性化合物探索への展開
Project/Area Number |
21K06473
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
松谷 裕二 富山大学, 学術研究部薬学・和漢系, 教授 (50255858)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | オルトキノジメタン / 分子内Diels-Alder反応 / シスCD縮環型ステロイド骨格 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の主目的である、シスCD縮環型ステロイド骨格を構築するための基質合成として、前年度までにA環相当のベンゾシクロブテン誘導体と、D環相当部のアルデヒド体まで合成できている。今年度は、鍵となる分子内Diels-Alder反応を検討するための基質を得るため、これら2分子のアルドール連結反応を行なった。種々検討の結果、低温下にてLDAを塩基として用いる条件にて92%の高収率で連結体を得ることに成功した。次いで、シアノ基を除去するため、金属ナトリウムによるBirch還元条件を適用したが、目的の脱シアノ体は得られたものの、18%という低収率に留まった。今後、収率向上の方策を検討する必要があると考えている。 低収率ながらも分子内Diels-Alder反応の基質を得ることができたため、本鍵反応の検討に着手した。キシレン溶媒中、封かんにて156°Cの加熱反応を行ったところ、目的の環化反応が進行し、シスCD縮環型ステロイド骨格を得ることに成功した。ただし、収率は32%に留まっており、全ての立体構造を解明するには至っていない。 以上の検討とは別に、CD環相当部のモデル化合物の合成検討も行い、非常に効率良く目的の骨格構築に成功した。本化合物を用いて、D環部の酸化状態を天然物のアンドラスチンと同じ構造へと変換するルートについて、検討を行なった。その結果、三枝酸化と分子内アルコール付加反応を通じて、D環部の酸素官能基化に成功している。さらに、天然物と同じ構造へと導くべく、検討を進めている。
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