2023 Fiscal Year Research-status Report
標的タンパク質結合ペプチド一斉同定を可能にする新規超高速スクリーニング技術の開発
Project/Area Number |
21K06475
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
川上 隆史 山梨大学, 大学院総合研究部, 助教 (60638881)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | Directed evolution / SELEX / PUREシステム / 遺伝暗号拡張技術 / in vitro virus / mRNAディスプレイ / cDNAディスプレイ / FGFR |
Outline of Annual Research Achievements |
PURE(Polypeptide synthesis Using Recombinant Elements)システムと遺伝暗号拡張技術(genetic code expansion)とin vitro virus(mRNAディスプレイ)法あるいはcDNAディスプレイ法を用いて、芳香族求核置換反応(Yokoyama et al.、Chemical Communications、58、5237-5240、2022)などにより環状化した非天然型環状(Nアルキル)ペプチド化合物のDNAコード化ライブラリー(DEL)より、分子進化工学的スクリーニング(Systematic Evolution of Ligands by EXponential enrichment, SELEX)法を用いて、がんに関わる創薬標的タンパク質である線維芽細胞増殖因子受容体(FGFR)などに結合する完全新規の非天然型環状(Nアルキル)ペプチド化合物を複数種類、同定することに成功した。また、同定した新規FGFR結合環状(Nアルキル)ペプチド化合物が、FGF/FGFR間相互作用を阻害すること、FGFR発現細胞MCF7内のFGF依存的なERKリン酸化活性をアンタゴナイズすること、MCF7のFGF依存的な細胞増殖を阻害することも発見した。更に、FGFR結合環状(Nアルキル)ペプチド化合物二量体が、FGF依存的に増殖するヒトiPS細胞の未分化維持増殖を促すアゴニスト活性を有することも発見した。 本研究成果は、日本薬学会第144年会、および、第75回日本細胞生物学会で成果発表を行なっている。また、査読付き学術論文であるBioscience, Biotechnology, and Biochemistry誌に掲載される研究成果発表も併せて行なっている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
数兆種類の非天然型環状(Nアルキル)ペプチド化合物のDNAコード化ライブラリー(DEL)より、分子進化工学的スクリーニング(Systematic Evolution of Ligands by EXponential enrichment, SELEX)法を用いて、がんに関わる創薬標的タンパク質である線維芽細胞増殖因子受容体(FGFR)などに結合する完全新規の非天然型環状(Nアルキル)ペプチド化合物を複数種類、同定することに成功したため。また、同定した新規FGFR結合環状(Nアルキル)ペプチド化合物が、FGF/FGFR間相互作用を阻害すること、FGFR発現細胞MCF7内のFGF依存的なFGFRリン酸化活性をアンタゴナイズすること、MCF7のFGF依存的な細胞増殖を阻害することも発見したため。 更に、FGFR結合環状(Nアルキル)ペプチド化合物二量体が、FGF依存的に増殖するヒトiPS細胞の未分化維持増殖を促すアゴニスト活性を有することも発見したため。そして、本研究成果は、日本薬学会第144年会、および、第75回日本細胞生物学会で成果発表を行なっているため。また、査読付き学術論文であるBioscience, Biotechnology, and Biochemistry誌に掲載される研究成果発表も併せて行なっているため。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでに、PURE(Polypeptide synthesis Using Recombinant Elements)システムと遺伝暗号拡張技術(genetic code expansion)とin vitro virus(mRNAディスプレイ)法あるいはcDNAディスプレイ法を用いて、芳香族求核置換反応などにより環状化した非天然型環状(Nアルキル)ペプチド化合物のDNAコード化ライブラリー(DEL)より、分子進化工学的スクリーニング(Systematic Evolution of Ligands by EXponential enrichment, SELEX)法を用いて、がんに関わる創薬標的タンパク質である線維芽細胞増殖因子受容体(FGFR)などに結合する完全新規の非天然型環状(Nアルキル)ペプチド化合物を複数種類、同定することに成功した。また、同定した新規FGFR結合環状(Nアルキル)ペプチド化合物が、FGF/FGFR間相互作用を阻害すること、FGFR発現細胞MCF7内のFGF依存的なFGFRリン酸化活性をアンタゴナイズすること、MCF7のFGF依存的な細胞増殖を阻害することも発見した。更に、FGFR結合環状(Nアルキル)ペプチド化合物二量体が、FGF依存的に増殖するヒトiPS細胞の未分化維持増殖を促すアゴニスト活性を有することも発見した。 そこで今後は、SELEXスクリーニングにより同定した新規FGFR結合環状(Nアルキル)ペプチド化合物をモデル標的タンパク質結合ペプチドとして、標的タンパク質結合ペプチド一斉同定を可能にする新規超高速スクリーニング技術を開発していく予定である。
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Causes of Carryover |
研究計画が順調に進んだため、計画よりも研究費を抑えることが可能となった。また、所属機関の共用機器が使用可能となったため、計画よりも研究費を抑えることが可能となった。引き続き、生物学実験試薬・器具、化学実験試薬・器具などの物品費、配列解析のためのその他費用として使用する計画である。
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