2021 Fiscal Year Research-status Report
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21K06483
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Research Institution | Showa Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
山崎 龍 昭和薬科大学, 薬学部, 准教授 (90453844)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | アミド / フッ素 / 立体構造 / 置換基効果 |
Outline of Annual Research Achievements |
アミド結合は多くの医薬品にみられる構造であり、またペプチドの基本構成単位となっている。この構造特性を知ることは、医薬品のデザインや新たなモダリティーにおいてペプチド・タンパク質編集などにおける分子設計に関する基礎的な知見となり得る。近年、フッ素原子の脂溶性などの特性に注目され、様々なフッ素置換基導入法が報告されているが、アミド類縁化合物に関しては合成法も限られ、とくに立体構造特性などについては知見が少ないのが現況である。そこで申請者は、アミド、アミド類縁化合物にフッ素原子を導入すると化合物の構造特性にどのような影響を及ぼすのか明らかにすることを目的として、化合物の合成や反応開発についての検討を初年度に行った。 まず、これまでに報告されている合成法をもとにフッ素置換基をもつアミド化合物の合成や反応開発についての検討、ならびに性質の探索を行った。合成に関して、反応収率の向上を目指して報告をもとに反応条件の検討をすすめ、ある程度の収率向上を達成している。すでにいくつかの合成した化合物について、X線結晶解析、NMR測定による溶液中での構造特性、ならびに新たな物性の探索を行い、アミド結合のシス/トランスのコンフォメーションや結合角にどのような影響を及ぼすのか明らかとした。その結果から、アミド化合物において、フッ素置換することでアミド結合のカルボニル酸素とフッ素原子との電子的反発が立体構造に影響を及ぼすのではないかという仮説をたてた。さらに、その仮説に基づき、新たな合成法開発によりこれまでに報告のないフルオロカーボン置換のアミド誘導体の合成に取り組んで、系統的なフルオロカーボン置換の影響を探索している。また、その過程でこれらの化合物の物性について興味深い知見が得られて、現在論文投稿中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
成果の一部について、現在論文投稿中である。学会発表については、未発表のデータをオンラインで公表するのを差し控えたこともあり、関連プロジェクトについては発表がなかった。研究自体については概ね順調に進展していて、次年度以降に発表する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
申請者がこれまで扱ってきた化合物を基質とした新規フッ素導入反応の開発に取り組んでいる。加えて、これまでに立体構造特性の知られていないフッ素置換基を導入したアミド化合物の合成や構造解析をすすめている。これらの構造特性に関する実験解析結果を計算化学の支援によりより深化させて、分子設計への知見を広げていきたい。さらに、フッ素をもつアミド化合物に特色を見出したので、こちらについても検討を行っている。
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Causes of Carryover |
試薬などの経費が最小限で実施でき、令和3年度にすべての経費を使用する必要がなくなった。旅費に関しても、コロナ禍により令和3年度は発表が難しかった。令和4年度により幅広い検討ならびに発表などを行うために合算して使用したい。
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