2022 Fiscal Year Research-status Report
Molecular Transformations of 2,3-bissilylcyclopropanone by utlizing transition metal catalyst
Project/Area Number |
21K06484
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Research Institution | Meiji Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
齋藤 望 明治薬科大学, 薬学部, 教授 (80349258)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | ビスシリルシクロプロパノン / ジイン / ニッケル / 環化付加反応 / 7員環 |
Outline of Annual Research Achievements |
当該年度は0価ニッケル触媒を利用した1,6ー末端ジインと2,3-ビス(トリメチルシリル)シクロプロパノンの[2+2+3]付加環化反応の検討を中心に進めた。反応条件の詳細な検討の結果、配位子としては二座ホスフィンよりも単座ホスフィンが適しており、シクロヘキシルジフェニルホスフィンを用いると良好な収率で7-トリメチルシリルオキシー5ートリメチルシリルー1,2,3,7ーテトラヒドロアズレン誘導体が生成することを見出した。本反応は様々なジインに適用可能であり、アルキンを繋ぐテザー部を種々変更することにより多様な骨格を有する1,2,3,7-テトラヒドロアズレン誘導体が得られることが分かった。一方、1,6-内部ジインを基質とすると末端ジインとは異なり、ビスシリルシクロプロパノンの1位と2位の炭素-炭素結合が反応して、置換形式の異なる1,2,3,7-テトラヒドロアズレン誘導体が得られることが明らかになった。このように、末端アルキンか内部アルキンかの違いによって、同じ[2+2+3]環化付加反応でも全く異なる反応機構で進行している可能性を見出すことができた。 また同時にニッケル触媒を用いた2,3ービス(トリメチルシリル)シクロプロパノンとNーアルキニルアミド(イナミド)との環化付加反応による2-アミノシクロペンテン合成についても検討を進めており、現在目的化合物を生成させるための最適な反応条件の精査を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初はビスシリルシクロプロパノンとアルキンの分子間[2+3]付加環化反応の開発を目指していたが、原料の消失は確認されるもののビスシリルシクロプロパンの不安定さや、アルキン分子の揮発性のため、どのような化合物が生成しているか、原料がどのような構造へと変化しているかが判然としなかった。そこで、基質を単純なアルキンから追跡容易なジインとすることで、より効率的な反応開発研究が進められると期待した。実際に、1,6-ジインを基質とすることで副生成物がアルキンの三量化反応で生成したと考えられるベンゼン誘導体であることがわかり、その生成を抑制することができれば目的生成物の収率は向上するだろうと予想を立てることができた。このことを基盤として検討を進めたところ、通常環化反応による構築が難しい7員環化合物が良好な収率で生成することを新たに見出すことができた。従って、当初目的としたアルキンとビスシリルシクロプロパノンの環化付加による5員環構築の年度内の達成は困難であったが、より構築が難しい化合物を収率良く合成する反応を見出すことができたため、上記のような進捗状況であると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
1,6-ジインと2,3-ビスシリルシクロプロパノンの[2+2+3]環化付加反応の更なる検討を進める。特に基質が1,6-末端ジインと1,6-内部ジインの場合で、ビスシリルシクロプロパノンの反応位置が異なることについて、理論化学計算を機軸として反応機構解析を進める。さらにジインだけでは無く、ジエンやアレンなど他の多重結合性化合物と2,3-ビスシリルシクロプロパノンとの不可環化反応の検討を進め、多官能性の多環式化合物の新しい合成法開発に向けて精査を進める予定である。
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