2023 Fiscal Year Annual Research Report
フルオロアルキル基を有する光学活性アミン類の効率的な不斉合成法の開発
Project/Area Number |
21K06489
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Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
河村 伸太郎 国立研究開発法人理化学研究所, 環境資源科学研究センター, 上級研究員 (60732956)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | フルオロアルキル化 / アミン / 触媒 / ラジカル / DFT計算 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、フルオロアルキル基を有する光学活性なアミン類の新規な触媒的合成法の開発研究を行なった。光学活性な環状アミンは生理活性分子に散見され、合成化学におけるビルディングブロックとしても汎用される重要骨格である。一方、フルオロアルキル基は、主骨格分子の代謝安定性や膜透過性を向上させることが知られており、創薬研究において薬理動態の改善を目的に常套的に導入される官能基である。これらを併せ持つハイブリッド分子は新規な医薬や農薬の開発において有望である。しかし、その効率的な合成は未だ困難な状況にある。そこで、本研究ではキラル銅触媒を用い、アルケンを出発原料とする不斉反応によってフルオロアルキル基を有する光学活性な環状アミン類を合成することを計画した。本研究の最初の2年間において、不斉を誘起することが可能な銅触媒触媒の配位子骨格を見出すことに成功した。本年度は、収率および立体選択性の向上を目的に、触媒や基質構造のより緻密な設計と反応条件の検討を行なった。その結果、良好なエナンチオマー比で目的生成物を得ることに成功した。しかし、目的生成物の収率が低下する問題が生じ、より詳細な反応系の設計が求められた。そこで、反応活性中間体であるフッ素化ジアシルペルオキシドおよびフルオロアルキルラジカルの構造および反応性について、実験と量子化学計算を組み合わせることによって検証し、基礎的な理解を深めた。加えて、配位子が反応機構を変化させることも見出し、より詳細な不斉反応系設計に向けて重要な知見を得た。
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