2021 Fiscal Year Research-status Report
針型濃縮デバイスを用いた製剤中残留溶媒の迅速高感度スクリーニング分析法の開発
Project/Area Number |
21K06491
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
植田 郁生 山梨大学, 大学院総合研究部, 准教授 (50598688)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 残留溶媒 / 揮発性有機化合物 / 試料前処理 / ガスクロマトグラフィー |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、針型の揮発性有機化合物濃縮デバイスを用いて医薬品中の残留溶媒の迅速スクリーニング分析法を開発する。初年度である2021年度は、クラス1溶媒に分類される化合物をガスクロマトグラフ―水素炎イオン化検出器で分離・分析する際の条件およびそれらの化合物を高効率に捕集してガスクロマトグラフの試料注入口で脱離させることが可能な濃縮針の最適化を実施した。また、成形型の製剤を粉末状とし、粉末状の製剤から揮発性有機化合物を捕集するための分析法の構築を行った。 針型濃縮デバイスに充填する吸着剤は、比表面積が大きく、低分子量の揮発性化合物に対する捕集力が強いカーボンモレキュラーシーブ粒子を選択した。 成形製剤は、薬包紙で包んだ後に木槌で粉砕し、均一な粒子状とした後に容積1 mLのピペットチップに充填した。粒子の両端は石英ウールで固定した。その後、チップの根元側をシリコンセプタムで閉じ、先端側は窒素が入ったバッグに接続した。そして、濃縮針をセプタムに挿入してガスを吸引した。これにより、窒素ガスが粉末状試料内を通過する際に、製剤中の揮発性有機化合物が揮発し、針内の吸着剤に捕集・濃縮されるようにした。試料採取量は50 mLとし、試料採取時間は約5分であった。試料捕集後は濃縮針をガスタイトシリンジに接続してガスクロマトグラフの試料注入口に接続して捕集した揮発性成分の加熱脱着を行った。 現在は定量下限値の確認および化合物ごと、ならびに製剤試料ごとの試料からの成分の追い出し効率を検討している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
初年度の当初目標である、濃縮針の開発およびガスクロマトグラフィーでの分析条件の確立や錠剤試料からの揮発性成分の分析手法の確立は予定通り達成することができた。さらに、測定対象化合物の試料からの追い出し効率の検討および質量分析計での分析なども行っており、当初の計画よりも順調に進展していると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
測定対象の揮発性化合物の粉末状製剤試料からの追い出し効率が当初の想定よりも低く、また、化合物の種類および製剤の種類によっていも追い出し効率が異なることが明らかとなりつつある。現時点では「検出」することは可能であることや感度も十分であることは確認されたが、含有量を定量的に評価する方法が確認されていない。そこで、今後は製剤中の揮発性化合物の含有量を定量分析する方法の確立を行う方針である。
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Research Products
(15 results)