2021 Fiscal Year Annual Research Report
難溶性薬物の過飽和形成製剤と直接的皮膚侵襲による経皮的送達法の応用基盤の構築
Project/Area Number |
21K06492
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
黒崎 勇二 岡山大学, 医歯薬学域, 教授 (90161786)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
金 惠淑 岡山大学, 医歯薬学域, 准教授 (70314664)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 難溶性薬物 / 固体分散体 / 皮膚透過性改善 / 溶解特性改善 / マイクロニードル / N-251 |
Outline of Annual Research Achievements |
難溶性モデル薬物として、新規抗マラリア候補化合物(6-(1,2,6,7-teraoxaspiro[7,11]nonadec-4-yl)-hexan-1-ol, N-251)およびcarbamazepine(CBZ)を選択し、溶媒溜去法によってそれぞれ水溶性高分子であるポリボニルピロリドンK-30(PVP K-30)との固体分散体の調製による非晶質化を試みた。調製した固体分散体は、昇温DSCでの融点における吸熱ピークの消失したことから調製した固体分散体の非晶質化が示唆された。 調製した固体分散体の水への溶解動態を検討した。N-251の原薬の溶解度は溶解開始24時間後においても定量限界(2.5 mg/L)以下であったのに対し、N-251:PVP=1:9(w/w)の固体分散体の溶解度は溶解開始0.5時間後において338.5 mg/Lまで増大した。CBZについてもCBZ:PVP=1:9(w/w) の固体分散体の溶解度は溶解開始0.5時間後においてCBZ原薬の約2.6倍となる870 mg/Lまで増大した。 Franz型拡散セルにヘアレスラット摘出皮膚を装着し、N-251とCBZの固体分散体の皮膚透過動態を原薬と比較した。固体分散体化により24時間までの累積皮膚透過量はそれぞれ1.90倍および1.46倍に有意に増大した。さらに、皮膚表面を市販の美容用マイクロニードルで穿刺処理することにより、固体分散体化したN-251およびCBZの24時間までの累積皮膚透過量はどちらも原薬に比べ約2.70倍とさらに増大させることができた。 本研究は、難溶性薬物の経皮的投与製剤開発の新しい可能性として、(1) 水溶性高分子との固体分散体化による過飽和形成製剤を調製し、(2) マイクロニードルによる皮膚の薬物透過障壁能の一過性の減弱による薬物送達経路の確保を組み合わせることの有用性を示唆する。
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