2021 Fiscal Year Research-status Report
Study of collision cross section in lipid analysis using ion mobility-mass spectrometer
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21K06496
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
上野 紀子 順天堂大学, 大学院医学研究科, 助教 (90546631)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 脂質 / 質量分析 / イオンモビリティ / CCS |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は安定した衝突断面積(CCS)の値を得るために必要な因子の探索を行った。 衝突断面積(CCS)は分子のかさ高さを示す分子固有の値である。TWIMSタイプの質量分析計(MS)において CCS は装置内のイオンモビリティセルの通過に要する時間であるドリフトタイム (DT) の実測値からキャリブレーションの換算式により求めることができる。しかしその実測 CCS 値は文献上でもn数を要するほど確認に慎重さを要するケースもある。そこで安定したCCS算出に必要な因子の探索を行った。 セル内の移動距離から換算される DT は、内部の真空度(圧力)により影響を受けると考えらる。そこで、イオンモビリティセルの圧力に影響する因子の検討を行った。イオンモビリティセル内の圧力は IMS Pressure setup を施行することでコントロールされる。しかし実際のセル内の圧力は任意の値でLockされてしまい、研究者の意図する数値を設定することができない。そのため設定値の変更を行いIMS Pressure setup を施行し変化したデータを目測で検討した。その結果、設定可能な温度を変えることでセル内の圧力と DT に影響を与えることを見出した。 また、キャリブレーション試薬のデータが簡易的に判別できる系の検討に着手した。キャリブレーション試薬を脂質のCCS分析を目的とした LC の系に適応したところ、多くがカラムに吸着せず溶出され、親水性の物質が多いことが分かった。申請者の使用機器 Vion IMS Q-Tof で CCS 値を測定するために HDMSe モードを通常使用することから LC での分離が重要である。現在、脂質分析を前提としたキャリブレーション試薬の簡便な分離手法の構築について検討中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2021年度にCCSの実測値DTに影響を与える因子を見出すことができたことは大きく進展でできた点である。一部遅れている部分もあるが、おおむね順調に進んでいるものと考える。
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Strategy for Future Research Activity |
脂質分析を前提としたキャリブレーション試薬の簡易な LC 分離系を構築する。サンプル分析の間にキャリブレーション試薬の分析を可能にすることで DT と CCS の安定性の担保を試みる。すでに着手を始めているが分析対象の脂溶性の脂質と親水性のキャリブレーション試薬の物性が大きく違うため LC 系の構築には工夫が必要と考えている。困難であった場合は脂溶性物質で CCS の基準となる物質の検討を行う。その場合、基準物質となる脂溶性物質の CCS の確かさのコンセンサスを得る手法も課題となる。解決し次第、様々な脂質標品での測定を行い、実測値の収集に着手する。
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Causes of Carryover |
今年度はオンライン学会が多く移動や宿泊費が抑えられた面もある。次年度使用額は脂質標品など試薬の購入の費用に充てる予定である。
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Research Products
(2 results)