2021 Fiscal Year Research-status Report
Studies for early prediction of physical degradation of therapeutic proteins
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21K06503
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
今村 比呂志 立命館大学, 生命科学部, 助教 (40552485)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 蛋白質医薬品 / 物理劣化 / 凝集 / 変性 / 抗体 |
Outline of Annual Research Achievements |
蛋白質医薬品は蛋白質を主成分とする医薬品であり、その特異性の高さと重大な疾患に有効なことから今後ますます利用されることが期待される。一方、蛋白質であることから低分子医薬にはない変性と凝集の問題を抱えている。変性と凝集は、化学組成を変える化学劣化と区別され、物理劣化と呼ばれる。蛋白質医薬品の物理劣化は薬効の低下を招くだけでなく、免疫応答を引き起こす可能性もある。物理劣化しにくい蛋白質分子や条件を限られた時間、資源の中で十分に検討することは容易ではない。本研究では、短期の実験データから、凝集の数理モデルに従って、長期で起こる変性・凝集を予測(=“早期診断”)する手法を開発することを目標とする。具体的には、(a)蛋白質の変性・凝集のし易さを長期保管試験せずに短時間でアッセイする方法の開発、(b)アッセイ系で観測される変性・凝集のモデリング、を実施する。 蛋白質の凝集は、「(i) 変性を伴う凝集」と「(ii) 変性を伴わない凝集」がある。2021年度は「(i) 変性を伴う凝集」の”早期診断”法として、変性剤濃度変調法の開発に取り組んだ。これは変性剤濃度と変性剤にさらす時間を変数とする“変性剤パルス”を用いることで、蛋白質がどのような非天然状態のとき凝集しやすいか?を明らかにするものである。変性剤パルスの間の抗体の構造変化と凝集状態を解析するため、小角X線散乱法、蛍光分光法、サイズ排除クロマトグラフィー法を用いて実験データを取得した。また、「(ii) 変性を伴わない凝集」について、ミオグロビンをモデルとして分子間相互作用(凝集性)を小角X線散乱法で解析した。また分子間相互作用と凝集の関係式の開発に着手した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
「(a)蛋白質の変性・凝集のし易さを長期保管試験せずに短時間でアッセイする方法の開発」は「(i) 変性を伴う凝集」と「(ii) 変性を伴わない凝集」いずれについても実験データの取得が進み、計画通り進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
「(a)蛋白質の変性・凝集のし易さを長期保管試験せずに短時間でアッセイする方法の開発」については、取得した実験データを基に、凝集しやすい非天然状態の分子種を同定し特性評価を行う。「(b)アッセイ系で観測される変性・凝集のモデリング」については、分子間相互作用と凝集の関係式の開発を進める。
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Causes of Carryover |
所属変更により、不足する必要な機器消耗品類を次年度に準備する必要が生じたため。蛋白質単量体および凝集体の分離分析機器を導入する。
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