2023 Fiscal Year Annual Research Report
時間軸上で変化する代謝と糖鎖の関係解明に向けた高スループット糖鎖解析システム開発
Project/Area Number |
21K06505
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Research Institution | Kindai University |
Principal Investigator |
木下 充弘 近畿大学, 薬学部, 教授 (40330279)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | マイクロチップ電気泳動 / シアル酸結合様式特異的 / HepG2 / セクレトーム |
Outline of Annual Research Achievements |
2023年度は研究期間初年度~2年目に検証した全自動マイクロチップ電気泳動装置を利用して開発した糖鎖解析システムについて、上半期には新たに糖鎖非還元末端のシアル結合様式の違いを区別するための、シアル結合様式特異的アミド化反応(SALSA法)を適用し、その有用性を明らかにするとともに、下半期ではHepG2細胞のセクレトーム中糖タンパク質糖鎖解析へと応用した。 シアル結合様式特異的アミド化反応(SALSA法)については、複合型2、3、4本鎖N型糖鎖のα2-3/α2-6シアル酸結合様式の違いを、アミド化に用いるアルキルアミンの種類を使い分けることで識別可能となった。本技術により、従来電気泳動分離では識別が困難であったシアル酸結合様式の違いを、10試料/1時間のスループットで解析できる方法を開発した。 細胞の代謝とタンパク質糖鎖の関係解析については、GlcN含有培養液中培養したHepG2を増殖因子(EGF/FGF)刺激し分泌されるセクレトーム中のN結合型糖鎖を解析した結果、FGF刺激時間依存的に、複合型3、4本鎖N型糖鎖を持つ糖タンパク質の分泌量が増加することを明らかにした。また、FGF刺激時間依存的な糖鎖の変化はMAPK経路、PI3K経路のキナーゼ阻害剤によりキャンセルされることを経時的な変化として捉えることができた。従来まで、これらの情報を取得するためには、HPLC-MSにより大掛かりな糖鎖解析が必要であったが、全自動マイクロチップ電気泳動装置を利用する分析法を開発したことで、糖鎖と代謝の関係に迫る研究基盤を形成することに成功した。
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