2022 Fiscal Year Research-status Report
Development and evaluation of multifunctional derivatization reagents that greatly improve the convenience of LC/MS analysis
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21K06506
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Research Institution | Fukuyama University |
Principal Investigator |
小川 祥二郎 福山大学, 薬学部, 准教授 (30546271)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | LC/ESI-MS/MS / 誘導体化 / ステロイド / 抱合型ステロイド / 正荷電誘導体化 |
Outline of Annual Research Achievements |
計画2年目である2022年度は2021年度の成果をさらに発展させて,ビタミンD3代謝物などのセコステロイドや7-デヒドロコレステロール酸化成績体を誘導体化の対象化合物にした,多点認識に基づく,きわめて高い測定対象の特異的構造への選択性を持ちかつ超高感度と位置異性体の相互弁別を含む超高選択性をもたらすスマート試薬の開発を行った.すなわち,1,2,4-triazoline-3,5-dione (TAD) を母核とし,その4位に常時正荷電のピリジニウム構造を含有したCookson型試薬の開発を試みた.誘導体化試薬には適度な疎水性が好適であることから置換ピリジンをベースに,疎水性とアルキル基への導入時に立体障害が極力少ないことなどを勘案して,2位にフッ素を置換した2-fruololisonicotinic acidを用いて4段階で鍵中間体である2'-fluoropyridyl-1,2,4-triazolidine-3,5-dione (ウラゾール体) へと導いた.得られたウラゾール体はブロモエタンと作用させ,目的のN-ethyl-2'-fluoropyridinium-1,2,4-triazolidine-3,5-dioneを得た.これを脱水素酸化し,新規荷電Cookson型試薬:1'-ethyl-2'-fluoropyridinium-1,2,4-triazoline-3,5-dione (EFPTAD) の合成に成功した.EFPTADとビタミンD前駆体である7-デヒドロコレステロールは定量的に反応が進行したため,本試薬の反応性も確認できた.また,EFPTADの窒素原子とフッ素原子の位置異性体についても検討した所,N-ethyl基が脱離しやすいことも判明し,試薬の合成の容易さと試薬安定性の面でもEFPTADが有意であることも見出した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画書にも示した,多点認識に基づき,超高感度と位置異性体の相互弁別を含む超高選択性をもたらすスマート試薬の開発も順調に達成できているため,概ね順調に進んでいるものと判断した.これと並行し,開発した試薬の安定性の解明や,この他の新規な反応性を有するスマート試薬の開発も並行できている点から今後計画最終年も予定通りに進むものと考えている.
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Strategy for Future Research Activity |
EFPTADのMS/MS挙動や性能評価を行うと共に,計画書に記した光学活性な生理活性物質の高感度検出とキラル分離を可能にする正荷電型スマート試薬の開発と高感度化とともに相対的定量解析 (差解析) を実現するスマートICD試薬の開発についても併せて行っている. さらに現在,スマートICD開発の方策として,ステロイド抱合体の抱合部分の酸性官能基を対象に新規ジアゾメタンを基盤とした誘導体化試薬の開発も合成が順調に進んでいる.
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Causes of Carryover |
学内での予算執行までに購入予定の器具と試薬の納入が完了しないことが判明したため,2023年度に繰り越すことになった.該当の試薬等は購入可能になった時点で手配を完了したため問題がないものと考える.
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