2021 Fiscal Year Research-status Report
細菌感染に対する新規自然免疫シグナル伝達の構造生物学的研究
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21K06514
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
中村 照也 熊本大学, 大学院生命科学研究部(薬), 准教授 (40433015)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 構造生物学 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、細菌感染に応答して転写因子NF-kBを活性化する新規自然免疫シグナル伝達機構を原子レベルで理解し、細菌感染防御機構の基礎的知見を得ることを目的としている。本シグナル伝達経路では、細菌の代謝産物が細胞内のキナーゼを活性化し、基質タンパク質がリン酸化を受けることで、ユビキチンリガーゼ複合体が形成され、NF-kBが活性化される。現在、これらタンパク質によって形成されるユビキチンリガーゼ複合体の構造解析を進めている。本年度は、キナーゼの調製系を確立し、構造解析に適したリン酸化基質タンパク質の調製を行った。調製したキナーゼが基質タンパク質をリン酸化することは、リン酸化抗体とゲルろ過実験による分子量変化により確認し、基質タンパク質はリン酸化に伴って多量体を形成するが、その多量体は非常に凝集しやすいことがわかった。現在は、タンパク質濃度、バッファー、温度などの条件を検討し、凝集が起こらず安定にリン酸化体を調製できる条件を検討している。リン酸化を行う一方で、リン酸化ミミック基質タンパク質複合体の結晶化も進めており、こちらについては結晶が得られた。放射光施設Photon FactoryのビームラインでX線回折実験を行ったところ、タンパク質由来の回折像が得られたため、現在、構造解析に適した結晶が得られる条件の最適化を進めている。また本シグナル伝達機構を細胞レベルで理解、実証するためにHEK293T細胞とルシフェラーゼアッセイを用いた実験系の立ち上げに着手した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
基質タンパク質のリン酸化、リン酸化ミミック基質タンパク質複合体のX線回折実験、細胞を用いた実験系の立ち上げを行えたため、おおむね順調に研究は進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
現在の検討事項を引き続き進める。
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Causes of Carryover |
実験プロトコールの改良や共同研究を実施でき、予定していた物品費を削減できたため。
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Research Products
(10 results)