2021 Fiscal Year Research-status Report
Structural analyses of PMP22 and MPZ to elucidate the molecular mechanism of Charcot-Marie-Tooth disease
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21K06515
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
坂倉 正義 横浜市立大学, 生命医科学研究科, 助教 (20334336)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三尾 和弘 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 材料・化学領域, ラボチーム長 (40470041)
田辺 幹雄 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 物質構造科学研究所, 特任准教授 (00716871)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | シャルコー・マリー・トゥース病 |
Outline of Annual Research Achievements |
シャルコー・マリー・トゥース病(CMT)の原因遺伝子産物であるミエリンタンパク質ゼロ(MPZ)について、ナノディスクを用いてMPZの細胞外ドメイン(MPZ-ECD)の膜重合活性を評価する“ナノミエリン”システムの拡張と、CMT関連アミノ酸残基置換がMPZの機能に及ぼす影響について解析した。 ナノミエリンについては、これまで用いていた直径10 nmのMSP1D1ナノディスクに加えて、直径13 nmのMSP1E3D1ナノディスク、直径21 nmのMSP2N2ナノディスクを用いたナノミエリンを調製し、電子顕微鏡解析による膜間距離の測定精度を向上させた。CMT誘起型アミノ酸残基置換については、D32G, D46V, A47V, E68V, N87H置換を導入したMPZ-ECDをそれぞれ調製し、サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)およびナノミエリンを用いてこれらのアミノ酸残基置換がMPZの多量体化能・膜重層化能に及ぼす影響を解析した。この結果、N87H変異に伴う多量体化能・膜重層化能の消失が観測され、SECおよびナノミエリン実験において観測されたMPZ-ECDの多量体化・膜重層化能の喪失がミエリン形成不全と関連していることが示唆された。D32G, E68Vについては多量体化能・膜重層化能は観測されたが、CDスペクトルの温度依存的変化の解析から、野生型と比較して熱安定性が低いことが示された。この結果は、D32G, E68V変異を有するCMT患者の発症年齢が高いことと関連する可能性が考えられる。一方、D46V, A47Vについては、多量体化能・膜重層化能・熱安定性が野生型と同等であった。これらのアミノ酸残基置換に伴い誘起されるCMTには、今回の実験条件では観測されなかったホモ相互作用、あるいは他の関連タンパク質とのヘテロ相互作用が関与している可能性が考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
MPZについては、概ね研究実施計画通りに研究が進み、疾患関連変異が分子構造・機能に与える影響が明らかにされつつある。 PMP22については、X線結晶構造解析による立体構造決定のため、酵母発現系を用いたリコンビナントPMP22の調製および調製したタンパク質の結晶化を試みた。この結果、微細なタンパク質結晶が得られたが、PMP22の立体構造決定には至らなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
MPZについては、溶液中において観測されるS相互作用に着目した解析を進める。 PMP22については、引き続きX線結晶構造解析による構造決定を目指す。PMP22の構造が決定できなかった要因として、PMP22の細胞内側膜外領域が小さく、結晶化に必要な分子間相互作用が形成されにくいことが考えられる。これに対して、N末端に可溶性タンパク質を融合させることにより細胞内側膜外領域の分子サイズを増大させたリコンビナントPMP22融合体の発現系構築に取り組み、既に完了させた。次年度は目的タンパク質の大量調製、精製、および結晶化に取り組む予定である。
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Causes of Carryover |
PMP22融合体の発現系構築に時間を要したため、リコンビナントPMP22融合体の精製に必要な試薬類(界面活性剤等)の購入予算を次年度に繰り越した。
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