2021 Fiscal Year Research-status Report
Elucidation of the molecular mechanism by the albumin-mediated hepatic uptake and new development of the mechanistic model to describe the albumin-mediated phenomenon
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21K06519
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Research Institution | Toho University |
Principal Investigator |
宮内 正二 東邦大学, 薬学部, 教授 (30202352)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
菊川 峰志 北海道大学, 先端生命科学研究院, 准教授 (20281842)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | アルブミン促進肝取り込み / トランスポーター / アルブミン解離促進 / 蛍光相関分光測定法 |
Outline of Annual Research Achievements |
基礎学問から応用学問まで薬学領域において幅広く受け入れられている概念”free drug theory (FDT)”に従わない、アルブミン介在取り込み促進機構解明を詳細に解析するための最適な実験系の構築を行った。先ず、アフリカツメガエル卵母細胞発現系を用いて、アルブミン結合率の高い薬物を輸送する有機アニオン輸送担体(OATP,OAT)の輸送活性を示す発現系を確立した。構築した輸送担体発現系は高い輸送活性を示し、アルブミン存在下でも詳細な速度論的な解析が可能なものである。これら発現系はイオン駆動力が解明されていない有機アニオン輸送担体の分子輸送機構の解明、エネルギー共役系の解明にも応用できる有用な実験系であることが明らかになった。実際に、アルブミン存在下で輸送促進機構、特に、アルブミンの輸送駆動力に及ぼす影響について検討を進めている。更に、これまでアルブミン促進機構が報告されている臓器の抽出RNAを用いて有機アニオン輸送担体の単離、輸送実験系を確立した。これにより脳毛細血管や腎毛細血管において報告されているアルブミン促進機構の詳細なメカニズムとその生理的意義を今後検討する。 一方、並行して進めている蛍光物質利用した蛍光相関分光分析法(Fluorescence Correlation Spectroscopy:FCS)によりアルブミン介在肝取り込み促進を詳細に解析出来る実験系の構築を行っている。今年度明らかにした知見として、蛍光強度の自己相関関数の測定には、蛍光物質の励起状態安定性が必須であること、アルブミン促進を示す蛍光物質はFCSには適切で無いことである。今後、FCS解析に適切な蛍光物質の検討を現在行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2021年度は、アルブミン促進取り込み機構の詳細な解析を遂行する上で、アルブミン存在下でも詳細な速度論的な解析が可能な実験系の構築、更に、物理化学的測定の確立をおこなった。これにより、詳細な促進分子機構を解明することが可能となった。更に、様々な臓器、脳毛細血管や腎毛細血管において報告されているアルブミン促進機構の詳細なメカニズムとその生理的意義の解明にも繋がる進展が期待できる。これらの理由より、順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度においては、物理化学的手法を用いて、次に示す3つの項目を順次明らかする。①電気生理学的手法を用いて、アルブミンと細胞表面との相互作用による解離した薬物の輸送を高時間分解能で測定し、促進モデルの精緻化を行う。②アルブミンと細胞表面との相互作用により引き起こされる解離促進を熱力学的手法(等温滴定型熱量測定法)により測定し、アルブミンの構造変化の観点から、アルブミンからの薬物-解離促進のメカニズムを解明する。③アルブミンと細胞表面との相互作用による解離促進の可視化とターゲット分子を同定する。
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Causes of Carryover |
コロナ禍による規制により、北海道大学との分担研究は、on-lineでの会議において研究を遂行した。主に研究準備のみ行った。この調査準備により、対象とする化合物の変更が明らかになった。このため、フルオレッセイン誘導体(dichlorofluorescein(DCF))から安定性の高いAlexa_Fluo488誘導体に変更することになった。これに伴い、分担者の研究経費は北海道大学での研究を本格化する、次年度に繰り越した。 使用計画としては、2項目からなる。①本年度、有る程度進める予定であった蛍光相関分光分析法(Fluorescence Correlation Spectroscopy:FCS)に適した実験系の確立を行う。このため消耗品(測定機器に関わるガラス器具)の購入を計画している。②電気生理学的手法を用いて、アルブミンと細胞表面との相互作用による解離した薬物の輸送を高時間分解能で測定し、促進モデルの精緻化を行う。このため高時間分解能に対応したDA/AD変換システムの構築が必要となる。DA/AD変換システムは自作であるがコンピュータボード、電子機器部品等購入を計画している。
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Research Products
(4 results)