2021 Fiscal Year Research-status Report
The use of nucleic acid aptamers as a removable masking agent for the controlled polymer modification of enzymes
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21K06522
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Research Institution | Gihu University of Medical Science |
Principal Investigator |
笹井 泰志 岐阜医療科学大学, 薬学部, 教授 (60336633)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
磯野 蒼 岐阜医療科学大学, 薬学部, 助教 (50880481)
近藤 伸一 岐阜薬科大学, 薬学部, 教授 (90240944)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | アプタマー / 酵素-高分子コンジュゲート / トリプシン |
Outline of Annual Research Achievements |
高分子による酵素の修飾は、酵素の安定性改善、活性のON/OFF制御および高分子の性質に由来する物性、機能性の付与に利用されている。一方、高分子修飾酵素では、活性部位の化学修飾や修飾高分子による活性部位への基質分子のアクセシビリティ低下により、一般的に酵素活性が低下する。本研究は、高分子修飾する際の酵素活性部位のマスク剤として、酵素活性部位に対するアプタマーを用いる新たな高分子修飾法の開発を目的とするものである。 令和3年度はモデル酵素にウシトリプシンを用い、その活性部位に対するアプタマーのリバーシブル性能を評価した。12等量のアプタマー存在下、トリプシンの活性は約3%まで低下し、効果的に阻害剤として機能していることが示唆された。一方、阻害活性は、ウシトリプシンと82%のアミノ酸配列相同性を持つブタトリプシンに対しては、まったく認められなかったことから、アプタマーが選択的阻害剤として有効であることが示された。トリプシンとアプタマーのドッキングシミュレーション解析結果は、アプタマーはウシトリプシンの活性部位を比較的広い面積で覆っていることを示唆しており、アプタマーが活性部位のマスク剤として効果的であることを明らかにした。次に、その系にアプタマーと相補的塩基対を形成するオリゴDNAをリムーバーとして添加したところ、活性は当初の約90%まで回復し、酵素活性部位をマスクしたアプタマーがリムーバーと相補的塩基対を形成することで活性部位からアプタマーを解離させることが可能であった。 以上の結果より、トリプシン活性部位のリムーバブルマスク剤としてアプタマー活用方法を確立し、また、その有効性を明らかにすることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初、リムーバーにより活性部位から解離させたアプタマーの再利用に関する検討を行う予定であったが、それは、未実施で初年度を終えた。一方、ドッキングシミュレーションからアプタマーによる酵素活性部位のマスク状況を視覚的に考察できるスキームを完成さることができ、今後、ウシトリプシンで確立した方法を高分子修飾が望まれる酵素に展開する際、アプタマーとの相互作用の考察などで有効活用できる。総合的に2年目の研究実施に向け、好材料を用意することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
実施計画に基づき、モデル酵素ウシトリプシンを用いた系で、核酸アプタマーの高分子修飾を行い、導入した高分子の分子量制御によるマスク領域の制御について検討する。さらにそのような機能性アプタマー存在下での酵素の高分子修飾を行い、酵素表面の領域選択的高分子修飾の可能性を検証する。そして、リムバブルマスク剤の再利用についても検討する。それら実現のため、アプタマー修飾高分子には、LCST型温度応答性高分子poly(N-isopropylacrylamide)(pNIPAAm)を第一に検討する。pNIPAAmは酵素を高分子修飾する低温条件では溶解状態にあり、その分子量により、マスク領域の制御に効果的と考えている。また、回収時リムーバーとアプタマーを熱的に解離させたとき、NIPAAmの不溶化により、アプタマーを固体として反応系から分子回収が可能と考えている。なお、研究代表者の所属機関では実施ができない、酵素の二次構造解析等については、他施設研究分担者の協力により効率的に実施していきたい。 抗がん剤としても臨床応用されているL-asparaginaseのPEG修飾にリムーバブルマスク剤を適用するため、L-asparaginaseの活性部位のアプタマー探索を行い、リムーバブルマスク剤を用いた、L-asparaginaseの活性低下を最小限とする効果的PEG修飾について検討し、アプタマーをリムーバブルマスク剤とする新しい酵素の高分子修飾法の有用性を明らかにする。
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Causes of Carryover |
R3年度に外部委託予定であった分析(MALDI-TOF質量分析)がR3年度に実施できず未使用金が発生した。本分析はR4年度に実施する予定である。
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