2021 Fiscal Year Research-status Report
多粒子結合イオン液体ナノ粒子を用いた超高感度電気化学発光イムノアッセイ法の開発
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21K06523
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Research Institution | Kyoto Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
武上 茂彦 京都薬科大学, 薬学部, 教授 (70298686)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 電気化学発光 / イオン液体 / ナノ粒子 / イムノアッセイ |
Outline of Annual Research Achievements |
本申請課題では、難治性疾患の診断において実用性のある超高感度電気化学発光イムノアッセイ(ECLIA)法を構築すべく、イオン液体ナノ粒子(ILNP)を複数個結合させた多粒子結合型ILNP(MPB-ILNP)の開発とMPB-ILNP-ECLIA法の生体試料への応用を目指すことを目的としている。初年度(令和3年度)は、1)種々のイオン液体(IL)中での発光物質Ru錯体の電気化学発光(ECL)挙動の解析、2)モデルナノ粒子であるリポソームを用いた多粒子結合の検討、3)多粒子結合型リポソームのECL信号増幅効果の検討、の3点をおこなった。1)について、アニオンとカチオンの組み合わせを変えた種々のILを用いて、Ru錯体のECLを測定した。その結果、アニオンとしてトリフルオロメタンスルホニルイミドイオンを有するILにおいてRu錯体のECL強度が大きくなることが示された。一方、アニオンにヘキサフルオロリン酸(PF6)イオンやテトラフルオロホウ酸(BF4)イオンを有するILではRu錯体のECLはほとんど観測されなかった。2)について、スクシニルイミド基と第1級アミンを親水基に有するリポソームをそれぞれ調製し、両者を任意の割合で混合しアミド結合を介して種々の多粒子結合型リポソームを調製した。多粒子結合型リポソームにビオチン修飾脂質を混合し、アビジンに結合する多粒子結合型リポソームを水晶振動子マイクロバランス法で測定した。その結果、リポソームの混合割合が増えるにしたがって、振動数変化も増加したことから、多粒子結合型リポソームが調製できていることが示された。3)について、一定量のアビジンに対して種々の多粒子結合型リポソームを添加しECLを測定した。その結果、リポソームの混合割合が増えるにしたがって、ECL強度も顕著に増加したことから、多粒子化はECLの信号増幅に有用であることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
令和3年度に、単粒子でのILNP-ECLIA法を構築する予定であったがまだ定量的なデータは得られていない。その理由として、昨今の社会情勢を受けてECL測定用金電極の供給不足が挙げられる。そのため、金電極の代替として炭素電極を検討した。しかし、炭素電極では金電極と比較して、IL中でのRu錯体のECL強度が顕著に減少するということが明らかとなった。そこで現在、炭素電極でも十分なECL強度が得られるようにILNP中へのRu錯体の封入率の向上や炭素電極へのビオチン固定化について検討中である。また、金コロイドを用いて炭素電極表面を修飾し、金電極と同等のECL強度が得られるかについても検討中である。
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Strategy for Future Research Activity |
まず、大きなECL強度が得られたILを用いてMPB-ILNPを調製し、次の項目について検討をおこなう予定である。1)水晶振動子マイクロバランス法を用いて、MPB-ILNPが調製できているかを実証する。2)種々の濃度のアビジンに対してMPB-ILNPを添加してECLを測定し、各MPB-ILNPの検量線から ILNPの多粒子化が検出および定量感度の向上に有用であることを実証する。
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Causes of Carryover |
(理由)研究に必要な試薬等を購入していった結果、残金が114円となった。この金額では新たに試薬等を購入するのは不足しているので、残金を次年度に繰り越し有効に利用したい。 (使用計画)翌年度配当額である1,100,114円の内訳として、消耗品費950,114円、国内旅費150,000円を計画している。
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