2021 Fiscal Year Research-status Report
生体膜糖脂質による共受容体制御を介した新たなレプチン受容体シグナル制御機構の解明
Project/Area Number |
21K06531
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Research Institution | Tohoku Medical and Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
稲森 啓一郎 東北医科薬科大学, 薬学部, 准教授 (70710375)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
狩野 裕考 東北医科薬科大学, 薬学部, 助教 (40774279)
新田 昂大 東北医科薬科大学, 薬学部, ポスト・ドクター (30847976)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | ガングリオシド / レプチン受容体 / レポーターアッセイ |
Outline of Annual Research Achievements |
生体膜糖脂質ガングリオシドは、生体膜マイクロドメインを構成する成分の一つとしてシグナル伝達に深く関わっており、肥満・糖尿病時に増加し慢性炎症の誘発・増悪に関与している。本研究では、申請者らが肥満モデルマウスにおいて見出した、レプチン受容体シグナル調節における生体膜糖脂質ガングリオシドの役割を明らかにするため、ガングリオシドのレプチン受容体に対する直接的作用に加えて、相互作用のプラットフォームとしてレプチン受容体の共受容体制御を介した作用について検討を行う。今年度はまず、HEK293細胞を用いてレプチン受容体シグナル活性化を簡便にモニターするレポーターアッセイ系の構築を行った。レプチン受容体遺伝子とSTAT3またはERK応答性ルシフェラーゼレポーターを導入後、各濃度のレプチンを添加してシグナル伝達の強度を測定した。その結果、STAT3の活性化について、レプチン濃度依存的に応答性がみられ、スフィンゴ糖脂質生合成阻害剤のD-PDMPを添加した細胞ではより強いシグナルが観察された。一方、ERK活性化についてはレプチン濃度依存性がほとんどみられなかったものの、D-PDMP添加により応答が全体的に増加した。また、血清濃度を高めると応答性がさらに増加したことから、血清中のレプチン以外の増殖因子等によりHEK293に発現している増殖因子受容体を介してERK活性化を促進したことが考えられる。低濃度のレプチン添加時には血清濃度を高めることによりSTAT3活性化も促進され、D-PDMP添加によりさらに増加したことから、ガングリオシド依存的な共受容体活性化の可能性を示唆しているものと考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度はまずレポーターアッセイ系の構築を行うことで、今後計画を効率よく進めるための条件を確認した。また、作業仮説を確認しながらそれを示唆する結果を得ることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
HEK293細胞におけるレポーターアッセイ系にて、JAK2やSTAT3の阻害剤を用いて主なシグナル伝達因子の関与を確認していく。また、GM3S KO細胞を用いて、GM3およびそれ以外のガングリオシドの添加実験を組み合わせて特異性を検討する。EGFなどの増殖因子受容体による活性化についても検討していく。活性化が確認できた条件において視床下部由来神経細胞株においても活性化が確認できるか検討する。クロストークによる活性化が確認できる条件を定めたのち、抗体アレイを用いて受容体リン酸化を調べていく。これらの検討を通して、ガングリオシドを介した共受容体シグナル活性化機構について明らかにしていく。
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Causes of Carryover |
本年度は、研究室で所有していた共通試薬、抗体などを使用できたことにより、予定より使用額が抑えられた。次年度においては、さらに必要な試薬・抗体・リガンド、アッセイ用キット等を順次購入していき、効率よく進めていく。
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Research Products
(1 results)