2021 Fiscal Year Research-status Report
NASH induced-liver fibrosis was mediated by the disruption of circadian clock system
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21K06536
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
和田 平 日本大学, 薬学部, 准教授 (20597398)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | NASH / 線維化 / 体内時計システム |
Outline of Annual Research Achievements |
シフトワークや睡眠障害によるNASH関連疾患の発症メカニズムは明らかにされていないが、体内時計システムの変調の関与が示唆されている。そこで、食餌誘発性NASH発症マウスの肝臓における体内時計を時計遺伝子発現量より検討した。NASH発症マウスの肝臓における時計遺伝子の発現量の概日リズムが変調することを見いだした。体内時計システムは複数の時計遺伝子によって制御されているが、中でも時計遺伝子BMAL1が中心的な役割を担っている。そこで肝実質細胞である肝細胞特異的にBMAL1遺伝子を欠損させた(HKO)マウスを作製し、NASH肝線維化への体内時計システムの関与を解析した。NASH誘導食を給餌したHKOマウスの肝臓において、線維化関連遺伝子であるCol1a1及び繊維化促進因子であるTGFβ1 mRNA発現量の増加が見られた。そこで、TGFb1遺伝子のプロモータ解析を行ったところ、BMAL1によるTGFb1遺伝子の直接的な転写制御は認められなかった。次に体内時計システムを介した肝繊維化制御機構を明らかにするため、血液パラメーターについて解析したところ、NASH発症に伴うALT、AST濃度(肝障害マーカー)ならびに血清フェリチン濃度の明期に高く、暗期に低くなる日内変動は、HKOマウスにおいて日内変動は見られなかった。また、NASH肝線維化の発症要因である炎症及び活性酸素の日内変動について、炎症生サイトカイン発現量及びマロンジアルデヒド含量(脂質の過酸化の指標)を解析したところ、Controlマウスにおいて見られた日内変動が、HKOマウスでは消失した。一方、肝臓トリグリセリド含量及び脂肪変性において日内変動はいずれのマウスにおいても見られなかった。これらの結果は肝細胞BMAL1は、炎症、活性酸素量の日内変動の制御を介してNASH肝線維化の概日リズムの制御に関与していることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
肝細胞BMAL1を介したNASH肝線維化の概日リズムにおいて、炎症及び活性酸素制御の関与を示唆する結果を得ている。これらの結果は、肝細胞ー炎症担当細胞ー肝星細胞の細胞間相互作用への体内時計システムの関与を示唆するものであることが挙げられる。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は体内時計システムによるNASH肝線維化の発症要因について明らかにしてきた。次年度は、体内時計システムによるTGFβ発現制御を明らかにするため、肝細胞ー炎症担当細胞ー肝星細胞の細胞間相互作用について解析を進める。また、TGFβはSMADを介して線維化シグナル活性を制御していることから、TGFβ/SMADシグナル活性の日内変動についても検討する。
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Causes of Carryover |
NASH発症に伴う肝線維化のコラーゲンの測定、免疫担当細胞の免疫染色などの実験手法を確立したことで、予定していた測定キットなどの消耗品費を少なくすることができたため、次年度に行う細胞間相互作用の解析に使用する。
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Research Products
(8 results)