2022 Fiscal Year Research-status Report
飢餓状態でのhnRNP A1消失とそれに続くncRNA遊離による癌細胞形質の変動
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21K06538
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Research Institution | Musashino University |
Principal Investigator |
高橋 徹行 武蔵野大学, 薬学部, 講師 (00403692)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | hnRNP A1 / CCND1 mRNA / boxB/lambdaNシステム / miRNA / lncRNA / circRNA |
Outline of Annual Research Achievements |
新規hnRNP A1結合性mRNAのCCND1 mRNAについて更に詳細な解析を実施した。欠失変異体を用いた解析により、前年度にに明らかにした飢餓状態によるhnRNP A1タンパク消失を介したCCND1 mRNA不安定化はhnRNP A1タンパク内のRRM1ドメインにより規定される事が明らかになった。この結果を裏付けるように、RRM1ドメイン欠失変異体を安定発現させたHeLa細胞(HeLa-deltaRRM1)をヌードマウス皮下に移植しても、全く腫瘍形成が認められなかった。また、in vitroによる検討において、HeLa-deltaRRM1は著明な増殖速度低下とオートファジー亢進をもたらし、これはCCND1発現のレスキューによって回復した。
低栄養状態によりhnRNP A1 mRNA 3'UTRへの結合性が変動するmiRNAの更なる同定を試みた。結合予測位置解析とレポーターアッセイにより絞り込んだ8種のmiRNAについて、qPCRとimmunoblottingによる発現解析を実施した。lambdaN/boxBシステムを用いたプルダウンによる沈降物からのRNAを用いたqPCR解析では、4種のmiRNA (miR-4734、miR-4745-5p、miR-6126、miR-6798-5p)でこれまでの結果と矛盾することなく低栄養状態による結合量上昇が認められたが、総RNAを用いたqPCR解析では低栄養状態によるレベル変動は認められなかった。また、miR-4745-5p、miR-6798-5pの過剰発現はhnRNP A1タンパクレベルの減少を引き起こしたが、mRNAレベルへの影響は見られなかった。これより、低栄養状態によるhnRNP A1タンパクレベル低下にはmiR-4745-5p、miR-6798-5pを介する翻訳阻害が関与する事が明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
実施計画に沿って概ね順調に研究を遂行できたが、当初想定していなかった結果もいくつか出てきている。次年度は、この点の再検証を行いつつ当初の研究計画を推進していく予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
研究計画に沿って概ね順調に進行しているので、次年度も当初の計画通りに研究を推進していき、成果の論文化も並行して進めていく。
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Causes of Carryover |
ほぼ当初の計画通りに消耗品・受託解析に係る予算を消化したが、安価な代替品の適用やキャンペーン価格での購入により若干の余剰が生まれた。この余剰分は次年度の経費に合算し、研究計画に沿った円滑な経費の執行の一助とする。
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