2021 Fiscal Year Research-status Report
Activity/psychosis-dependent molecular plasticity around synapses in vivo
Project/Area Number |
21K06541
|
Research Institution | Tokushima Bunri University |
Principal Investigator |
山田 麻紀 徳島文理大学, 薬学部, 教授 (00312281)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤島 利江 徳島文理大学, 薬学部, 教授 (90286980)
|
Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
|
Keywords | シナプス可塑性 / スパイン / アクチン / CapZ / 記憶 / phencyclidine / Spine apparatus / カルシウム |
Outline of Annual Research Achievements |
研究目的:本研究グループでは既に、脳への入力依存の、シナプス(スパイン)での分子変化を捉え(EGFP-CapZが15-20分後に)、SciRep誌(DOI : 10.1038/s41598-020-72248-4)に昨年度報告した。これは、実際の生体脳での入力依存シナプス初期変化の物質的証明であり、記憶の成立が入力依存であることから、記憶の分子科学研究の新規の手がかりになる。本研究ではEGFP-CapZと結合する分子の網羅的解析を行うことで入力依存的に変化する分子群を捉えることを一次的な目的としている。また、その分子群について、入力依存性および記憶障害惹起薬物での処置の有無、から、正常な記憶の成立とともに変化する「結合分子」を絞り込み、精度の高い記憶の分子研究を推進する。 初年度の研究成果:本グループでは、EGFP-CapZをマウス脳に発現させるTransgenic Mouse(AiCE-Tg)を作成・使用しており、作成時から本研究のためにHAタグをEGFP-CapZに融合させてある。実際に、今回HA-PullDownという確立された手法で結合分子をAiCE-Tg脳から回収できた(共局在を既に示した~SciRepにて報告~actininという分子に加え、銀染色法でのいくつかのタンパク質バンドが回収できた)。そこで、マスによる網羅的分子解析を行い、多数の分子を同定した。さらに、記憶障害や統合失調症様精神障害を起こす薬物を投与することで結合量が変化する分子をマス解析したところ、既に記憶との関連が知られているものの詳細が不明な分子が浮かび上がってきた。脳でそれら分子とEGFP-CapZとが、相互に一部ではあるが共局在することが初年度中に解明でき、解析を継続している。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
他研究者との共同研究により、計画の中心である、網羅的結合分子解析が一気に進行した。すなわち、研究の中核である「EGFP-CapZとの共免疫沈降で、可塑的変化に伴って結合する可塑性関連分子」について、すでに複数の結合候補分子を得た。外部業者への発注の予定であったので、予算内ではサンプル数に制限が予想されたが、一件30万円と考えていたマス解析を、複数回お願いすることが可能となり、計画通りにPCP(麻薬エンジェルダストであり、ヒトでも記憶障害や統合失調症様精神障害を起こす薬物)の投与の有無での差分解析にも成功できた。具体的には、各3例Duplicate(12件)での比較により、再現性よく変化する分子を同定できた。また、その中で既に記憶との関連が示唆されてきた分子の免疫染色に成功した。それら分子とEGFP-CapZとで、生体内で共局在するスパインが存在すること、それがスパインの中のごく一部であること、が、初年度中に解明できた。
|
Strategy for Future Research Activity |
結合標的分子での免疫染色像は得ており、脳への入力・正常の記憶との関係性をより詳細に解析する。現在の標的分子は、生化学的手法(HA-Pulldown)によってEGFP-HA-CapZとの結合タンパク質として同定し、かつ、PCP(記憶障害や統合失調症様精神障害を起こす薬物)の投与でEGFP-HA-CapZとの結合量が変化することによって着目してきた。そこで、まず、免疫染色でのEGFP-HA-CapZとの共局在パターンでも同様のことが起こることを期待した。しかし、現時点で、実は、その分子がそもそも入力依存的に増量し局在変化している可能性が示唆されている。すなわち、EGFP-HA-CapZとの結合量増加自体は、標的分子(結合相手)の増量によるもので、結合の増加ではない可能性も浮上したため、慎重に定量的解析を進めている。なお、入力刺激依存、しかも、入力後30分程度での標的分子の変化が、確定したならば、それ自体も記憶メカニズムの初期過程として、過去の記憶研究を大きく変えうる発見と期待できる。通常30分程度でのタンパク質分子の増減は転写調節では起こらないので、標的分子の局所翻訳または分解の抑制によると考えられる。同様の分子解析でAutophagy(分解)制御分子も浮上してきていること、標的分子は、Autophagyの対象と考えられること、からも興味深い展開が期待できる。
|
Causes of Carryover |
予定していた研究では、結合タンパク質の網羅的解析は、外注によって行う予定で経費を計上していた。ただ、信頼度の高い手法では1サンプル30万円と高価なこともあり、旧知の研究者に問い合わせたところ、共同研究として解析を実費かつ先方負担で引き受けてくださった。すでに十分な回数の解析をしていただき、もし外注していたら500万円分以上になるデータを出していただいている。そのため経費に余剰が生まれた。 使用計画としては、今まで借りて使用している必要な機器の購入が可能になることを期待している。
|
-
-
[Journal Article] Synaptic pruning of murine adult-born neurons by microglia depends on phosphatidylserine2022
Author(s)
C. Kurematsu, M. Sawada, M. Ohmuraya, M. Tanaka, K. Kuboyama, T. Ogino, M. Matsumoto, H. Oishi, H. Inada, Y. Ishido, Y. Sakakibara, H. B. Nguyen, T. Q. Thai, S. Kohsaka, N. Ohno, M. K. Yamada, M. Asai, M. Sokabe, J. Nabekura, K. Asano, M. Tanaka, K. Sawamoto
-
Journal Title
Journal of Experimental Medicine
Volume: 219
Pages: e20202304
DOI
Peer Reviewed / Int'l Joint Research
-
-