2021 Fiscal Year Research-status Report
化学物質曝露に伴う膀胱疾患の発症進展におけるプロスタグランジン合成酵素の機能解析
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21K06549
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Research Institution | Showa University |
Principal Investigator |
佐々木 由香 昭和大学, 薬学部, 講師 (40635108)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 化学発がん / 膀胱がん / プロスタサイクリン / プロスタグランジン |
Outline of Annual Research Achievements |
2021年度はシクロホスファミドによる出血性膀胱炎へのmPGES-1およびPGISの関与について解析を行った。野生型マウス、mPGES-1欠損マウス、PGIS欠損マウスにシクロホスファミドを150mg/kg腹腔内投与し、4時間後の膀胱炎を評価したところ、野生型マウス、mPGES-1欠損マウスでは顕著な炎症反応が認められたが、PGIS欠損マウスでは炎症の抑制が認められた。このとき、野生型マウスではPGI2代謝物である6-ketoPGFaの産生が増加していたが、PGIS欠損マウスでは検出されなかった。次に、PGI2受容体(IP)のアンタゴニストによって、出血性膀胱炎は抑制されることも明らかとなった。さらに、白血球に発現するPGISが出血性膀胱炎に関与するのか解析するために、野生型マウスにPGIS欠損マウスの骨髄細胞を、あるいはPGIS欠損マウスに野生型マウスの骨髄細胞を移植して骨髄キメラマウスを作成し、シクロホスファミドを投与した。その結果、白血球に発現するPGISは出血性膀胱炎に影響しないことが示唆された。 これらのことより、多くの炎症性疾患の促進に関与することが報告されてきたmPGES-1はシクロホスファミド誘導出血性膀胱炎には影響せず、PGISによって産生されるPGI2が出血性膀胱炎の発症に重要であることが明らかとなった。 また、N-butyl-N-(4-hydroxybutyl)-nitrosamine (BBN)による膀胱化学発がんについても解析を行った。野生型マウスではBBN投与によって69.3%に発がんが認められ、15.4%は筋層まで浸潤していた。一方、PGIS欠損マウスでは全てのマウスに発がんおよび筋層への浸潤が認められ、PGISの欠損は膀胱発がんを促進することが認められた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2021年度はシクロホスファミド誘導出血性膀胱炎へのmPGES-1、PGISの関与について解析を行い、PGISの欠損が膀胱炎を抑制することを見出した。2021年度に計画していたとおり、病理学的評価、プロスタグランジン産生の解析、定量的PCRによる炎症性サイトカインの発現解析などを行うことができた。さらに、2022年度に計画していた、IP受容体のアンタゴニストの投与によってPGIS欠損マウスと同様に膀胱炎が抑制されることも明らかとなり、当初の計画以上に進展しているといえる。 また、BBN誘導膀胱化学発がんについても解析を進めている。2021年度はPGIS欠損マウスを用いた解析を行ったが、mPGES-1欠損マウスについては2022年度に行うこととした。 これらのことから、研究全体としてはおおむね順調に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
2022年度はBBN誘導膀胱化学発がんへのPGISの関与についてさらに詳細な解析を進める。具体的には膀胱組織におけるPG産生の測定、mRNA発現の解析を行い、PGIS欠損マウスで発がんが促進された原因について検討する。 さらに、BBN投与後1、2、8、10週間の膀胱における炎症やアポトーシスが野生型マウスとPGIS欠損マウスで違いがあるのか解析を行い、発がん初期の変化についても解析を行う。 また、mPGES-1欠損マウスを用いてBBN誘導膀胱発がんにmPGES-1が関与するのか解析を行う。
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Causes of Carryover |
コロナ禍で遠方の学会に参加できず、旅費を使用しなかったために次年度使用額が生じた。2022年度の実験試薬代として使用する予定である。
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Research Products
(3 results)