2021 Fiscal Year Research-status Report
腸管上皮組織におけるミクロオートファジーの生理機能及び分子機序
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21K06553
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Research Institution | Doshisha Women's College of Liberal Arts |
Principal Investigator |
和田 戈虹 (孫戈虹) 同志社女子大学, 薬学部, 教授 (00314427)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | ミクロオートファジー / 低分子量GTPase / 小腸上皮細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
新生仔小腸のエンドサイトーシスは、母体からの免疫賦与、腸内細菌叢の確立と破綻、あるいは病原性細菌やウイルスの感染成立の入り口、などに深く関わっている。このような組織でのミクロオートファジーを介したエンドサイトーシス経路の実態とメカニズムを明らかにすることは、医学分野においても重要な意義を持つと考えている。そこで、令和3年度は、小腸上皮細胞において、ミクロオートファジーのメカニズムを蛍光デキストランin vitro pulse-chase取り込み実験系を用いて明らかにした。具体的には、新生仔マウスの回腸組織ex plantを、蛍光デキストランを含む培地で培養してエンドサイトーシス経路をラベルし、エンドソームとリソソームの動態を経時的に観察する。ミクロオートファジーによる内容物の配送では、通常の小胞輸送とは異なり、エンドソームが液胞内に取り込まれた後、リソソーム内で膜が分解されて、エンドソームの内容物がリソソーム内腔に放出される。この過程において膜を壊すプロセスが必須となる。そこで、脂質、リン脂質分解酵素を阻害する低分子化合物存在下で異なる蛍光色素デキストランのパルス・ラベルとチェース実験を行い、色素の混合が阻害されているかを観察し、ミクロオートファジーの実態を明らかにした。さらに、エンドソーム・リソソームの相互作用には、SNARE分子、膜繋留因子HOPS複合体、H+ポンプ V-ATPaseなどが関わる。蛍光色素で標識した腸組織を固定後、蛍光抗体法で染色し、syntaxin-7, V-ATPaseやRab7が、どの領域に、どのような時系列で局在化するのかを解析した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初予定しているin vitro取り込み系を用いた小腸上皮細胞におけるミクロオートファジーの解析の計画に関して、順調に展開しており、エンドソームとリソソームの膜動態を概ね解析ができている。今後、ミクロオートファジーに重要な低分子量GTPase Rab7 の機能について、腸特異的遺伝子破壊マウスを樹立し、解析する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
申請者はCre recombinase依存の組換えによってmVam2、rab7遺伝子が破壊できる条件的遺伝子破壊アリル(mVam2flox、rab7flox)を作出している(Aoyama et al., Dev Cell 2012; Kawamura et al., Nat Commun 2012)。今後、小腸上皮細胞特異的にCre recombinaseを発現するVillin-Creマウスを交配することで、小腸上皮細胞特異的Rab7、mVam2コンディショナル・ノックアウト(cKO)マウスを作製する。野生型とcKOの新生児の体重増加を測定すると同時に、血清中成分の量を測定し、腸管を介した栄養吸収の効率を比較する。
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Causes of Carryover |
当年度は細胞レベルの解析が多いため、現有の機材で実施できたが、次年度、新たなマウスの樹立するため、令和4年度の助成金と合わせて使用する予定である。
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Research Products
(3 results)