2021 Fiscal Year Research-status Report
Development of functional biomaterials using laminin active peptides
Project/Area Number |
21K06563
|
Research Institution | Tokyo University of Pharmacy and Life Science |
Principal Investigator |
野水 基義 東京薬科大学, 薬学部, 教授 (00311522)
|
Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | バイオマテリアル / ペプチド / ラミニン / 細胞接着 / 細胞培養 |
Outline of Annual Research Achievements |
基底膜を模倣したバイオマテリアルの開発を目的として研究を行った。個体の発生や再生において細胞外環境を提供する基底膜を模倣したバイオマテリアルは、再生医療を目的とした組織工学において必須のものである。我々は長年にわたり基底膜の主要成分のラミニンの機能部位の解明を3000種類以上の合成ペプチドを用いて網羅的に行い、約100種類の活性ペプチドを同定してきた。また、活性ペプチドを高分子多糖マトリックスに結合させたペプチド-マトリックスが細胞培養の足場材料として有用であることを示してきた。本研究は、我々が同定したラミニン活性ペプチドを複数種類混合して固定化したペプチド-マトリックスの機能性バイオマテリアルとしての応用を目的としている。本研究ではまずこれまでの実験において活性のあった約100種類のペプチドの中でペプチド-マトリックスにした場合に顕著な活性を示すペプチドを再評価し、約10種類のペプチドを得た。現在、この10種類に関して様々な細胞を用いて細胞接着や培養の評価を行っている。また、インテグリンに対して特異的に作用するArg-Gly-Asp配列を含むラミニンα5鎖のペプチドを同定し、これを用いたペプチド-マトリックスがiPS細胞の培養に有効であることをみいだし、報告した。今後の実験でさらに細胞培養に有効なペプチド-マトリックスをみいだすことめざす。さらにそれらを混合することによって機能性バイオマテリアルとして開発する。この機能性バイオマテリアルは、iPS細胞やES細胞の培養および分化誘導、3次元培養や器官培養を可能にするもので、組織工学や再生医療の発展に大きく寄与するものである。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ラミニンペプチドの同定は完了。基材としてアガロースの有用性を検討中であり、概ね順調に進展している。
|
Strategy for Future Research Activity |
本研究課題で目的としている人工基底膜の開発研究を、当初の予定どおりに遂行する。我々が同定したラミニン活性ペプチドを中性のアガロース、酸性のアルギン酸、塩基性のキトサンなどの高分子多糖に固定化したペプチド-マトリックスを作成し研究を行う。我々が構築した約3000種類のラミニンペプチドからなるライブラリーから見出された細胞接着活性を有する約300種類の活性ペプチドの中でペプチド-マトリックスにした場合に顕著な活性を示すペプチドを再評価して得た約10種類のペプチドに注目して行う。高分子多糖に結合させたペプチド-マトリックスを作製し、細胞接着活性の強いものを見出していく。次に、受容体の同定と詳細な生物活性の解析を行い、作用の違いによりグループ分けを行う。また、各グループで最も強い活性のペプチド-マトリックスの最適化を、構造活性相関によるペプチドの最適化、長さや物性の検討によるスペーサーの最適化、多糖の種類や架橋度の検討によるマトリックスの硬さや物性の最適化の3方面から行う。最適化されたペプチド-マトリックスやそれらを混合した混合ペプチド-マトリックスを用いて、様々な生物活性を評価する。これら一連の研究ではラミニンとマトリゲルをコントロールにおき、線維芽細胞、上皮細胞、神経細胞、iPS細胞などを用いて培養実験を行い、人工基底膜ともいえる全く新しい医用材料の創製を行い、バイオマテリアルとして応用していく。
|
Causes of Carryover |
コロナ禍のため予定していた学会がオンラインや中止になったため旅費の支出がなくなったことから、2021年度の使用額が少なくなった。次年度以降は国内外の学会が通常通り行われることが想定されるため、次年度には今年度の分も含め成果報告を増やす予定で、2021年度の不使用分は次年度以降の学会参加・発表のための旅費を中心に使用していく計画である。
|
Research Products
(9 results)