2022 Fiscal Year Research-status Report
Renal vascular dysfunction and acute glomerulonephritis by haemolytic exotoxin fromStreptococcus pyogenes
Project/Area Number |
21K06568
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Research Institution | Okayama University of Science |
Principal Investigator |
竹谷 浩介 岡山理科大学, 獣医学部, 講師 (20586862)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三河 翔馬 岡山理科大学, 獣医学部, 助教 (20845664)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 腎循環 / 細動脈 / 平滑筋 / 溶血性レンサ球菌 / 細胞外毒素 |
Outline of Annual Research Achievements |
溶連菌感染に起因する急性腎障害の一部は急速に進行して慢性腎不全になることがあるが、この増悪の機序は不明である。我々は腎血管以外の血管において溶連菌が産生する細胞溶解毒素Streptolysin O (SLO)が血管内皮細胞を傷害し血管機能を変調させることを見出した。そこで本研究ではこのSLOによる腎血管内皮障害が腎血管機能を変調させることで急性腎障害(特に糸球体腎炎)を増悪させるという仮説の立証を目指している。 単離したラットの腎輸入細動脈・輸出細動脈のに対してAngiotensin II誘発性収縮に対するSLOの作用を検討したところ、輸入細動脈において若干の収縮抑制がみられた。一方、輸出細動脈においてはSLOによる影響は観察されなかった。このことは輸入細動脈と輸出細動脈それぞれでSLOの作用が異なることを示しており、作用メカニズムの解明の手掛かりになると期待される。他の血管で見られたacetylcholine誘発性弛緩にたいするSLOの抑制作用を検討したところ、輸入細動脈において予想に反して弛緩を増強する傾向が見られた。これはAngioteinsin IIに対する収縮抑制の結果と一致しており、SLOがほかの血管に対する作用とは異なる作用機序を持っている可能性を強く示唆している。 摘出腎を用いた灌流実験ではSLOはAngiotensinIIによる血管収縮に伴う灌流量の有意には低下させなかった。一方、Angiotensin II収縮後にacetylcholineで弛緩させたところSLO存在下では2相性の弛緩が見られた。初期相ではSLO非存在下と同程度の弛緩が見られたのに対し、その後弛緩が減弱していった。現在、SLOの処置時間を変えながらこの2相性の弛緩がどのようなメカニズムによって行われているかの解明を試みている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初計画した実験でSLOの腎血管機能変調作用が見られた。一方、2相性の見られた作用は想定と異なるものであったことから当初計画より詳細に検討していく必要が生じた。
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Strategy for Future Research Activity |
SLOが腎血管機能を変調させる可能性が示されたことから、当初計画通りその分子メカニズムならびに腎機能に対する作用を検討していく。一方、当初は想定していなかった2相性血管弛緩抑制の作用が見られたことから、このメカニズムの解明に取り組む予定である。
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Causes of Carryover |
計画時購入を予定していた流量計を別の研究費で購入することができたため、使われず繰り越された。また、参加を予定していた学会がオンライン参加になり旅費が全額使用されずに繰り越された。昨今の物価上昇により、動物や試薬の価格が上昇しているため繰り越された分で計画通りの実験が行える予定である。
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