2021 Fiscal Year Research-status Report
TDP-43発現亢進を標的とした筋萎縮性側索硬化症の新たな治療戦略の構築
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21K06583
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Research Institution | Tokyo Medical University |
Principal Investigator |
鈴木 宏昌 東京医科大学, 医学部, 講師 (10424178)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 神経変性疾患 / 筋萎縮性側索硬化症 / TDP-43 |
Outline of Annual Research Achievements |
筋萎縮性側索硬化症Amyotrophic lateral sclerosis(ALS)は、運動神経細胞のみが選択的に変性・脱落する神経変性疾患である。研究代表者は、これまでALS患者の運動神経細胞を含む脊髄などにおいて、Transactive response DNA-binding protein-43 kDa(TDP-43)の発現が上昇していることに着目し、TDP-43発現上昇が神経細胞に与える影響を検討してきた。その結果、研究代表者および他のグループより、TDP-43の発現上昇が神経毒性を示すなど、TDP-43の発現亢進がALS発症の引き金になる可能性を見出した。しかし、ALSにおけるTDP-43の発現亢進メカニズムは十分に明らかになっていない。 初年度は、ALSにおけるTDP-43の発現亢進メカニズムを解析する前段階の検討として、TDP-43の発現が生理的にどのようなメカニズムにより制御されているのか解析した。その結果、heterogeneous nuclear ribonucleoprotein(hnRNP)に含まれる分子群の一部がTDP-43の発現制御に関与することを見出した。またそのメカニズムとして、TDP-43 mRNAの3'-untranslated region(UTR)を介した制御が含まれることを明らかにした。 今後、同定に成功したTDP-43発現制御分子がどのようなメカニズムにより制御しているのかその詳細を解析するとともに、ALS患者においてはその発現制御が破綻し、TDP-43の発現上昇に寄与しているのか、ALS患者由来サンプルを用いた解析により今回明らかになった結果の妥当性を検証する。また、初年度同定したTDP-43発現制御分子以外にも引き続きTDP-43の発現制御に関与する分子の同定作業を並行して進める。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初、TDP-43の発現制御に関与する分子の同定に一定の作業を要することが予想されたが、現段階において、TDP-43の発現制御に関与する分子の同定に成功し、さらにそのメカニズム解析に着手している。今後、ALS患者由来サンプルを用いた解析によりその結果の妥当性を検証する必要があるが、現時点においては概ね研究の進捗状況は順調だと考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
同定に成功したTDP-43発現制御分子がどのようなメカニズムによりTDP-43の発現を制御しているのかその詳細を解析する。また、ALSにおいて、TDP-43発現制御分子の機能異常が認められるのか、ALS患者由来サンプルを用いた検討を行う。さらに、初年度同定したTDP-43発現制御分子以外のTDP-43発現制御分子の同定作業を引き続き並行して行う。
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Causes of Carryover |
当初、TDP-43の発現制御に関与する分子の同定に一定の作業を要することが予想されたが、比較的順調にスクリーニング作業が進行した。その結果、スクリーニング作業に要する費用として計上していた物品費が未使用額となった。今後、初年度未使用額を次年度の物品費に計上し、初年度に同定したTDP-43発現制御分子によるTDP-43の発現制御の詳細な解析に用いる予定である。また、初年度同定したTDP-43発現制御分子以外にも引き続きTDP-43の発現制御に関与する分子を同定すべく、その解析費用として使用する計画である。
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