2021 Fiscal Year Research-status Report
Development of novel mu-opioid receptor-selective opioids with less adverse effects
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21K06584
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Research Institution | Jikei University School of Medicine |
Principal Investigator |
上園 保仁 東京慈恵会医科大学, 医学部, 教授 (20213340)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮野 加奈子 東京慈恵会医科大学, 医学部, 特任准教授 (50597888)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | バイアスドリガンド / 二量体化受容体 / GPCR / オピオイド受容体 / 新規オピオイド化合物 |
Outline of Annual Research Achievements |
がん患者の疼痛管理に用いられているオピオイド鎮痛薬は長期使用により副作用および耐性を生じるため、オピオイド鎮痛作用を維持しつつ副作用の少ない新規オピオイド製剤を開発することが喫緊の課題となっている。現在オピオイド耐性、副作用を生じにくいアゴニストの開発として、オピオイドμ/δ二量体化受容体選択的アゴニストならびにG蛋白シグナルおよびβアレスチンシグナルというオピオイド受容体シグナルのうち、G蛋白シグナルのみを活性化するバイアスアゴニストが有力な候補としてその開発が行われている。 令和3年度は、北里大学薬学部生命薬化学 藤井研究室において合成された、上記の特性を備えていると推定される新規オピオイド化合物を用いて研究を進めた。鎮痛効果を維持しつつ副作用を起こしにくいアゴニストとしてμ/δ二量体に選択的に作用すると考えられる合成化合物をin vitro実験により選択し、それらの中でさらにG蛋白シグナルのみを活性化しβアレスチンシグナルには影響を与えないG蛋白バイアスアゴニストを同定することを目的とした。μ/δ二量体選択的アゴニスト候補化合物の中から数種類同定し、これらの中からさらにG蛋白シグナルバイアスアゴニストの選択を行うための実験を進めている。現時点では、μ/δ二量体活性を同定できるCellKeyアッセイシステムが故障しているため、同定中の段階である。なお令和4年度には選択された化合物を用いて動物実験を行うことを予定していることから、同定された化合物をリード化合物とした各部分の構造を変化させた候補化合物をさらに慎重に創製し、活性を比較測定する必要があると考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
これまでに共同研究先の北里大学藤井研究室で見出されたμ/δ二量体高親和性化合物を中心に、藤井研究室と協力して3Dシミュレーション結果に基づいて設計された新たな化合物を複数作製した。これらのμ/δ二量体高親和性候補化合物の活性確認をCellKeyアッセイシステムを用いて行った。その後、G蛋白シグナルを優先的に活性化するバイアス化合物についても、①μ/δ受容体に選択的かつ②G蛋白バイアスの特性を有する化合物に注視し、Flex Stationアッセイシステムを用いてその選択を行うこととした。前述のとおりμ/δ二量体活性はCellKeyを、G蛋白バイアス活性はFlex Stationを用い、μ/δ受容体選択的かつG蛋白シグナルを活性化しβアレスチンシグナルを活性化しない化合物の同定を行っていたのだが、CellKeyシステムが故障したため、μ/δ二量体活性の同定の段階で一部の研究が滞った状態となっており、CellKeyの修理完了(令和4年5~6月)を待って研究を再開する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究において、既報であるμ/δ二量体化受容体アゴニストML335を上回る活性を有する選択的μ/δ二量体化受容体アゴニストを途中までの段階ではあるが見出すことができ、かつその化合物を元に構造を各部位で少しずつ変えた複数の化合物を創製する段階となっている。さらにμ/δ二量体選択的化合物がG蛋白バイアス化合物であるかを解析する段階において、μ/δ受容体活性を測定するCellKey機器が故障したため、μ/δ活性特性化合物のすべては把握できておらず、現在実験を中断し修理完了を待っているところである。修理完了後は残りの化合物を用いて直ちにCellKeyアッセイを行い、μ/δ二量体選択的アゴニスト群よりG蛋白バイアス活性を有する化合物の選択を行う。得られた開発候補化合物を用いて、動物実験を行なっていくと同時に最終的には鎮痛薬製薬企業と臨床開発を行うための共同研究提案を行うための基礎データを構築する。
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Causes of Carryover |
令和3年度は、CellKeyシステムを用いてμ/δ二量体化受容体に選択的な化合物の同定ならびにG蛋白シグナルを優先的に活性化するバイアス化合物の同定を行う予定であった。しかしCellKeyシステムの故障のため、μ/δ二量体化選択的アゴニスト同定アッセイの終了とならず、引き続いて行うFlex Stationアッセイもそのため順延を余儀なくされ、CellKeyシステムの修理完了を待つこととなった。令和4年度5~6月には修理完了の見込みであり、令和4年度に研究費を繰り越すこととした。
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Research Products
(18 results)