2021 Fiscal Year Research-status Report
Molecular mechanisms of duplicate resistance to FLT3 inhibitors in acute myeloid leukemia
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21K06585
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
片山 和浩 日本大学, 薬学部, 教授 (40406963)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 急性骨髄性白血病 / FLT3 / 重複耐性 / シグナル |
Outline of Annual Research Achievements |
FLT3阻害薬は、FLT3遺伝子変異陽性の急性骨髄性白血病に対する治療薬として、日米欧で3剤が承認されている。現在までに単剤による治療が施行され、すでに耐性出現が報告されているため、今後は逐次治療に移行するものと予想される。本研究は、FLT3阻害薬の逐次治療後の重複耐性を実験的に確認し、その分子機構を解明し、耐性克服の治療戦略を探索することを目的とする。先行研究ではFLT3阻害薬の一つであるquizartinibに対する耐性細胞 (FLT3-ITD/D835V) を樹立している。本研究では、このquizartinib耐性細胞に異なるFLT3阻害薬midostaurinあるいはgilteritinibを長期暴露して重複耐性細胞を作製し、その耐性機構を解析する。その耐性機構を明らかにすることにより、カギとなるタンパク質を標的とした新規治療法の開発を目指す。 2021年度は、quizartinib耐性細胞 (QR細胞) からmidostaurinあるいはgilteritinibの暴露による重複耐性細胞 (QMR細胞およびQGR細胞) を樹立した。QMR細胞の性状解析では、QR細胞と比してmidostaurinおよびgilteritinibに数倍の耐性を示し、交差耐性を認めた。さらに、QR細胞は親株に比して10倍程度のquizartinib耐性を示していたが、QMR細胞はquizartinibに全く反応しなかった。遺伝子変異解析では、QMR細胞はQR細胞が保持するITD/D835V以外の新たなFLT3遺伝子の変異を認めなかった。また、QMR細胞は親株やQR細胞では認められない異常なFLT3下流シグナルの活性化を認めた。現在は、この増殖シグナル異常の根本的な原因について解析しており、分子標的として有用性を探索している。以上の性状解析について、2021年度は所属学会で3件報告した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
重複耐性細胞の作製では、FLT3阻害薬の不安定性により、樹立に失敗していることが本研究を開始して間もなく明らかになった。そこで改めて重複耐性細胞の作製を開始し、2021年度中に樹立に成功した。この細胞はFLT3阻害薬存在下でも安定的に増殖し、非存在下では親株と同程度の速度で増殖するなど、他のキナーゼ阻害薬耐性細胞と同様な性状を呈している。これらの重複耐性細胞は樹立時に使用したFLT3阻害薬にのみならず、異なるFLT3阻害薬にも交差耐性を示すことが明らかになり、予想以上の成果であった。また、増殖シグナル異常の一端をすでに見出しており、根本的な原因とシグナル異常の全容解明を進めている。 FLT3遺伝子の解析では、重複耐性化における付加的な遺伝子変異を認めなかった。そこで、先行研究で樹立したquizartinibに耐性を示すBa/F3-ITD+D835V細胞やBa/F3-ITD+Y842C細胞にエチルニトロソ尿素を処理して、ランダム変異 (ENU mutagenesis) 挿入による強制的なFLT3阻害薬重複耐性細胞の樹立を試みている。現在までに複数の耐性細胞を獲得しており、遺伝子解析に向けた準備を進めている。 重複耐性細胞の樹立に失敗したために研究の開始時には躓いたものの、現在までにその遅れを順調に取り戻している。また、重複耐性細胞ではFLT3遺伝子の付加的な耐性変異を認めなかったため、代替案としてENU mutagenesisも開始しており、ほぼ順調に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
研究開始時の遅れを2021年度中に取り戻したので、今後は以下のように研究を進める。 QMR細胞の性状解析を引き続き進めるとともに、QGR細胞の性状解析も開始する。QMR細胞ではFLT3の下流シグナルが親株やQR細胞と異なるため、FLT3も含めた種々の受容体の発現増幅について抗体アレイやマイクロアレイなどの技術を駆使して検討する。また、増幅している受容体の増殖シグナルへの影響に関して、siRNA導入や阻害薬を処理してMTTアッセイやフローサイトメトリー、ウェスタンブロット法によるアポトーシス関連タンパク質の発現変動解析により調べる。また、下流のシグナルへの影響をリン酸化抗体を用いたウェスタンブロット法やELISA法の手法で検討する。 ENU mutagenesisにより得た耐性細胞について、サンガーシーケンス法でFLT3遺伝子のキナーゼ部位への変異導入の有無について調べる。FLT3遺伝子の付加的な変異を認めた場合は変異型FLT3遺伝子を構築し、Ba/F3細胞に再導入する。これらの細胞に関して、上述した分子生物学的な手法によりFLT3遺伝子の変異が細胞増殖に及ぼす影響について解析を進める。 FLT3阻害薬処理により樹立した重複耐性細胞および変異型FLT3再導入細胞を用いて、これらの細胞の増殖を抑制する、標的既知の阻害薬をスクリーニングする。効率よく増殖を抑制する阻害薬を見出すことができれば、類似の阻害薬やRNAi法を用いて標的タンパク質の重複耐性細胞の増殖に対する効果および機能解析を進め、耐性克服に資する治療戦略かを見極める。
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Causes of Carryover |
物品費購入時の端数として、残金が生じた。残金は次年度の物品費に充当する。
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Research Products
(7 results)