2021 Fiscal Year Research-status Report
神経変性疾患シヌクレイノパチーのストレスセンサーDJ-1に関する薬理学的創薬研究
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21K06586
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
北村 佳久 立命館大学, 薬学部, 教授 (60195295)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | α-シヌクレイン / ヒト神経芽細胞腫 SH-SY5Y細胞 / マウスBV-2ミクログリア細胞 / C57BL マウス / DJ-1 / DJ-1結合化合物 |
Outline of Annual Research Achievements |
パーキンソン病やレビー小体型認知症などの神経変性疾患シヌクレイノパチーにおいて、酸化ストレスやα-シヌクレインの変性タンパク質の蓄積等、様々な要因が絡み合うことで病態が進行する。これまでに家族性パーキンソン病の原因遺伝子として同定されているPARK7/DJ-1に焦点を当てた研究を行ってきた。しかし、その詳細なメカニズムは明らかとなっていないことから、細胞内メカニズムを明確にする目的で研究をおこなった。 今年度においてα-シヌクレインの凝集を呈するモデルの作製、およびミクログリアによるα-シヌクレインの取り込みを評価するin vitro実験系を確立した。つまり、ヒト神経芽細胞腫SH-SY5Y細胞に対してヒトα-シヌクレイン遺伝子(SNCA)を安定的に過剰発現させた細胞を調製した。さらに、遺伝子組換えした大腸菌から精製・調製した。これらを組合わせ、SH-SY5Y細胞に対し、α-シヌクレインのβシート構造の前駆体(pre-formed fibrils: Pffs)を24時間処置し、wash outした後48時間インキュベーションすることで細胞内凝集体の形成を誘導することを明らかにした。つまり、細胞内に抗リン酸化αシヌクレイン抗体で免疫染色される細胞内凝集体形成を確認した。 一方、C57BLマウス脳を用いたin vivo実験系において、遺伝子組換えした大腸菌から精製・調製したリコンビナントαシヌクレインタンパク質のPffs をマウス線条体にマイクロインジェクションし、その3ヵ月後に、インジェクション部位の周辺ばかりでなく、黒質・大脳皮質などにも凝集体様の形成物を確認することができた。しかしながら、形成が認められたモデルマウスは約半数であった。来年度以降、さらに実験条件を検討する必要がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
In vitro 実験系において、評価系のプロファイルを解析することに時間を要したが、確立できた。In vivoモデルに関しては、脳内でα-シヌクレインの凝集体が形成されるまでに、α-シヌクレインのβシート構造の前駆体をマウス線条体にマイクロインジェクションし、3ヵ月後に検出できた。しかしながら、脳内での形成確率が低かった。今後、α-シヌクレインのβシート構造の前駆体(Pffs)の調製、マイクロインジェクション法など、検討していく予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
初年度に確立した以下の評価系を用いてDJ-1結合化合物の薬理作用を評価する。 1)ヒトSNCA遺伝子を高発現したSH-SY5Y細胞対して、α-シヌクレインのβシート構造の前駆体(Pffs)を処置した際のα-シヌクレイン凝集体の形成メカニズムを解析する。さらに、DJ-1結合化合物の作用を解析する。 2)マウス脳内へPffsを投与すると脳内でαシヌクレイン凝集体が形成される。これに対してDJ-1結合化合物が抑制作用を示すか調べる。 3)マウスミクログリア細胞株BV-2細胞に対してPffsを処置することで細胞内にα-シヌクレインが取り込まれる。これに対してDJ-1結合化合物が促進作用を持つ か調べる。
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Research Products
(6 results)