2022 Fiscal Year Research-status Report
Homeostatic effect of improvement candidate drug targeting IL-33
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21K06588
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Research Institution | Kindai University |
Principal Investigator |
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西中 崇 近畿大学, 医学部, 講師 (50786184)
高橋 英夫 近畿大学, 医学部, 教授 (60335627)
和氣 秀徳 近畿大学, 医学部, 講師 (60570520)
西田 圭一郎 岡山大学, 医歯薬学域, 准教授 (80284058)
廣畑 聡 岡山大学, 保健学域, 教授 (90332791)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 血管新生 / DAMP / IL-33 / ヒスタミン / 血管内皮細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
Damage-Associated Molecular Patterns(DAMPs)とは、細胞ストレスによって放出される内因性免疫応答調節因子であり、過剰な生成は炎症の遷延化や増悪を促すことが知られている。特に、慢性炎症性疾患の病変部位では、DAMPsが血管新生を伴うリモデリングを誘導し、病態増悪の原因となっている。この機序において、DAMPsと炎症性メディエーターが相互作用し、マクロファージの過剰な活性化が関与していることが示唆されている。 この研究では、アレルギー性炎症という慢性炎症性病態に着目し、その病態形成に関与するDAMPsの一種であるInterleukin-33(IL-33)と炎症性メディエーターのヒスタミンが、血管新生にどのような影響を与えるかを解析した。まず、ヒト内皮細胞EA.hy926を用いたin vitro実験系において、ヒスタミンによる管腔形成を見出し、ヒスタミンがIL-33の発現量を増加させることが確認した。また、この作用はヒスタミンH1受容体が関与することが明らかにした。この結果からIL-33上昇はヒスタミンを介して起こる管腔形成に関与すると考え、さらにIL-33との関連を調べるために最近強力なgene knock-downの手法として確立しつつあるRNAi(RNA interference)を用いた。EA.hy926を用い、IL-33のRNAiを行った結果、IL-33のRNAi行ったグループではヒスタミンによる管腔形成が阻害されることが確認できた。この結果から、ヒスタミンがIL-33を介して誘導する血管新生する可能性が示唆された。それらの解明によりこれらの分子をターゲットとした新しい治療方法が開発されれば、従来の治療よりもアレルギー性炎症をより上流で抑えることができ、より効果的な治療の実用化の可能性があると思われる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現在までは、ヒト内皮細胞EA.hy926を用いたin vitro実験系において、ヒスタミンによる管腔形成のメカニズムを解明した。その結果、ヒスタミンによる血管新生が、ヒトEA.hy926内皮細胞のH1受容体を介し、Protein kinase C (PKC)、Vascular endothelial growth factor (VEGF), VEGF receptor-2及びMatrix metallopeptidase (MMP)の活性化に関連していることを示した。さらに、MMPファミリーのMMP-9とMMP-14は、細胞外マトリック内に取り込まれたVEGFを放出し、VEGFR2との相互作用を可能にし、血管新生を促進すると示唆された。さらに、上記の機序に加え、ヒスタミンよる血管新生がIL-33及びIL33受容体のST2を介して血管新生を誘導する可能性が示唆された。よって、おおむね順調に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、顕著に血管新生がもたらすヒスタミンに着目し、IL33・及びIL33受容体のST2がどのようなメカニズムで血管新生に働くのかを明らかにしていく。IL33・ST2の理解は、ヒスタミンの血管新生への作用の複雑性を説明する鍵となる基盤研究であり、極めて重要である。特に、ヒスタミンが管腔形成を促進する機序についての解析が進められることで、血管内皮細胞やマクロファージにおけるIL-33とヒスタミンの相互作用についての理解が深まり、慢性炎症性疾患の病態解明につながることが期待される。
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Research Products
(7 results)