2021 Fiscal Year Research-status Report
ニーマン・ピック病C型に対する聴覚障害フリーなシクロデキストリン療法の確立
Project/Area Number |
21K06596
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
入江 徹美 熊本大学, 大学院生命科学研究部(薬), 教授 (60150546)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石塚 洋一 熊本大学, 大学院生命科学研究部(薬), 教授 (70423655)
近藤 悠希 熊本大学, 大学院生命科学研究部(薬), 准教授 (90721879)
竹尾 透 熊本大学, 生命資源研究・支援センター, 教授 (10517014)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | ニーマンピック病C型 / NPC / 聴覚障害 / ライソゾーム病 / シクロデキストリン |
Outline of Annual Research Achievements |
ニーマン・ピック病C型(Niemann-Pick disease type C, NPC)は、コレステロールを中心とする脂質類の細胞内輸送・転送系の障害を呈するライソゾーム病であり稀少難病に指定されている。申請者らは、生体適合性の高いコレステロール輸送担体2-ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン(2-hydroxypropyl-β-cyclodextrin, HPBCD)の脳室内投与療法を世界に先行して施行し、優れた神経障害改善効果を確認し2014年に国際誌にて発表している。2016年から世界規模でPhaseⅡb/ Ⅲの臨床試験が実施されたが、HPBCDによる聴覚障害が問題視され、現時点で医薬品としての承認に至っていない。本研究では、聴覚毒性フリーなNPC治療薬シクロデキストリン誘導体の開発を推進するために、①HPBCDの聴覚毒性発現機構の解明と予防・治療法の開発、および、②HPBCDより安全性に優れる次世代治療薬の開発を目指した基礎的検討を行うことを目的としている。
①HPBCDの聴覚毒性機序および至適投与量を調べる目的で①-1) マウス蝸牛外有毛細胞モデルHEI-OC1細胞を用いてHPBCDの細胞障害を調べたところ、HEI-OC1細胞を外有毛細胞様に分化させた状態で細胞障害性が高いことが明らかになった。また、①-2)この細胞障害にコレステロール引き抜きが関与することを明らかにした。さらに①-3) NPCモデルマウスを用いたHPBCDの至適投与条件を見出すため、HPBCD脳室内投与時の聴覚障害誘発の投与量依存性を調べ、その閾値を見出すことができた。更にこの閾値においても病態改善効果を示すことが示された。さらに、②HPBCDにかわる有効かつ安全性に優れる新規治療薬候補の開発を目的に、in vitro細胞モデルにて細胞障害性が低く有効性が高いシクロデキストリン誘導体を見出した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
①について、当初の想定よりも順調に研究が進行し、HPBCDの聴覚障害メカニズムの一端を解明することができ、また、HPBCDが聴覚障害を惹起することなく治療効果を発揮できる投与量を見出すことができ、学会発表を行った。さらに、国際誌への投稿準備を進めている。また、②安全性の高い新規治療薬についても候補分子を見出し、企業との共同研究に発展しており、共同での特許出願を計画している。以上のことから、当初の計画以上に進展していると評価する。
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Strategy for Future Research Activity |
①HPBCDの聴覚毒性機序および至適投与量の探索研究については、ほぼ予定を完了したため、論文化に向けた補足データの収集を行う。 ②安全性の高い新規治療薬候補については、動物モデルを用いた聴覚障害性の評価を実施する。
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Research Products
(5 results)
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[Presentation] Niemann-Pick病C型治療における2-hydroxypropyl-β-cyclodextrin脳室内投与療法の有効性および聴覚毒性評価を企図した逆向き橋渡し研究2021
Author(s)
白川 愛奈, 山田 侑世, 近藤 悠希, 西山 麻美, 河田 達哉, 三輪 徹, 竹田 大樹, 折田 頼尚, 竹尾 透, 中潟 直己, 東 大志, 本山 敬一, 有馬 英俊, 倉内 祐樹, 関 貴弘, 香月 博志, 池田 龍二, 檜垣 克美, 松尾 宗明, 入江 徹美, 石塚 洋一
Organizer
第74回日本薬理学会西南部会
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[Presentation] Niemann-Pick病C型治療薬候補としての2-hydroxypropyl-β-cyclodextrin の有効性と安全性に対する置換度の影響2021
Author(s)
石井 亮良, 片山 莉乃, 近藤 悠希, 山田 侑世, 東 大志, 本山 敬 一, 有馬 英俊, 檜垣 克美, 松尾 宗明, 入江 徹美, 石塚 洋一
Organizer
第38回日本薬学会九州山口支部大会
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[Presentation] Niemann-Pick病C型における2-hydroxypropyl-β-cyclodextrinの脳-肝連関の作用点の探索2021
Author(s)
河田 達哉, 西澤 まど香, 近藤 悠希, 山田 侑世, 竹尾 透, 中潟 直己, 東 大志, 本山 敬一, 有馬 英俊, 関 貴弘, 太田 智子, 倉内 祐樹, 香月 博志, 亀井 峻輔, 首藤 剛, 甲斐 広文, 伊藤 慎悟, 緒方 星陵, 大槻 純男, 檜垣 克美, 松尾 宗明, 入江 徹美, 石塚 洋一
Organizer
第38回日本薬学会九州山口支部大会
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[Presentation] Niemann Pick 病 C 型患者にアセトアミノフェンを使用する際の肝障害リスクに関する基礎的検討2021
Author(s)
難波 七海, 柚木崎 美織, 近藤 悠希, 山田 侑世, 竹尾 透, 中潟 直己, 江良 択実, 東 大志, 本山 敬一, 有馬 英俊, 関 貴弘, 倉内 祐樹, 香月 博志, 松尾 宗明, 檜垣 克美, 入江 徹美, 石塚 洋一
Organizer
医療薬学フォーラム2021
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[Presentation] Niemann-Pick病C型治療における2-hydroxypropyl-β-cyclodextrinの聴覚障害回避を目的とした至適投与条件の検討2021
Author(s)
白川 愛奈, 山田 侑世, 近藤 悠希, 西山 麻美, 三輪 徹, 竹田 大樹, 折田 頼尚, 竹尾 透, 中潟 直己, 東 大志, 本山 敬一, 有馬 英俊, 倉内 祐樹, 関 貴弘, 香月 博志, 池田 龍二, 檜垣 克美, 松尾 宗明, 入江 徹美, 石塚洋一
Organizer
医療薬学フォーラム2021