2021 Fiscal Year Research-status Report
アストログリアのエンドセリン受容体を標的とした外傷性脳損傷(TBI)改善薬の開発
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21K06609
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Research Institution | Kobe Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
小山 豊 神戸薬科大学, 薬学部, 教授 (00215435)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
泉 安彦 神戸薬科大学, 薬学部, 講師 (60456837)
道永 昌太郎 明治薬科大学, 薬学部, 講師 (60624054)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | アストログリア / エンドセリン / 脳浮腫 / 神経再生 / ETB受容体 |
Outline of Annual Research Achievements |
外傷性脳損傷(TBI)時における神経損傷に対するアストログリアのエンドセリン(ET)の役割について研究し、2021年度では以下の知見が得られた。 ・我々は既にマウスTBIモデルでの血液脳関門破綻と脳浮腫発生が、エンドセリン(ET)受容体拮抗薬の脳内投与で抑制されることを認めている(Michinaga et al.,2018)。ET抑制メカニズムについて血液脳関門の透過性を亢進するケモカインとの関連を検討した。マウスTBIモデルにおいてMCP-1/CCL2の発現が増加した。ETB受容体拮抗薬であるBQ788の投与は、TBIによるMCP-1/CCL2の発現増加を抑制した。脳においてETB受容体はアストロサイトに局在することが知られている。そのためこれらの結果は、ETB拮抗薬によるTBI時の血管透過性亢進の抑制にMCP-1/CCL2発現増加が関与することを示唆する。 ・アストロサイトのETB受容体刺激は脳損傷を増悪するMCP-1/CCL2およびCOX2発現を高める。ETB受容体によるMCP-1/CCL2およびCOX2の発現調節について培養アストロサイトを用い検討した。ET-1はRNA結合タンパクtristetraprolin(TTP)の発現を高めた。siRNAによるTTPのノックダウンは、ETによるMCP-1/CCL2およびCOX2の発現を増強した。一方、CINC-1/CXCL1, VEGF, preproET-1の発現は、TTPのノックダウンで影響されなかった。これらの結果は、ETによるアストロサイトMCP-1/CCL2およびCOX2発現におけるTTPを介するnegative feedback調節の存在を示唆する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
マウスTBIモデルの作成を行っていた研究分担者が、2021年4月より新しい研究室へ異動した。新しい研究室では、それまでTBIモデル作成に用いていた実験機器(Fluid percussion injury device;FP302; AmScien Instrument社)が調達できず、TBIモデルマウスを用いたin vivoでの検討について、2021年度の実験計画に遅れが生じた。
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Strategy for Future Research Activity |
・2021年度は上記の理由でTBIモデルを用いた研究の進捗が遅れたものの、2022度中に研究分担者の機関でTBIモデル作成装置が調達できる見込みとなった。そのため2022年度からはアストロサイトのエンドセリン受容体を標的とするTBI治療薬開発に向けた研究を、当初の計画に従い研究を遂行する予定である。 ・TBIモデルと用いたin vivo実験と並行し、培養アストロサイトを用いステロイドホルモン(dexamethasone, Estradiol, progesterone)の脳浮腫惹起因子に対する作用を検討し、ET拮抗薬との類似性を観察する。
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Causes of Carryover |
研究分担者の異動により、当該年度は研究の進捗が遅れた。そのため経費の使用額が計画より少なくなった。
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Research Products
(6 results)